きりんの脱臼
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ここは、なかはられいこ(川柳作家)と村上きわみ(歌人)の
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眼裏の世界地図から日が昇るかみさまはどこ行ってんだ今週 ぶさぶろう
Gがこの世界を見限ってからもうかれこれ二年になる。 いなくなってすぐの頃は、僕らは、どうせそのうち戻ってくるだろうとタカを くくっていた。なにしろ相手はGだ。そう簡単にゲームを降りるというわけに はいかないからね。 だけど三ヶ月経っても、半年経っても、帰る気配がない。さすがに僕らも不安 になって、街道から辻々を探してまわったんだけど、あいつ、どこにもいやし ないんだ。まったく、ファッキンな奴。
あんたにも一応言っとくけど、僕らは一度だってGをないがしろにしたことは ない。確かに、時々はあいつのこと鬱陶しいと思ったことはあるよ。だけど、 なんといっても奴はほら、クリエイターだし。それに、一度だけ直接聞いたこ とがあるんだけど、あの「闇」ってやつを創ったのもGなんだってね。それ聞 いて、なんだかものすごく感動しちゃってさ。だって、ふつう、創んないじゃ ん、闇なんてさ。闇というものが僕らに必要だってこと、Gはちゃんとわかっ てた。それはすごいことだと思ったね。
で、まあ、とにかくGはまだ帰って来ない。帰って来るのかどうかもわかんな いんだけど。最近、あいつの気配がどんどん薄くなっていくのを感じるんだ。 この世界のどこにも、Gの気配が残っていないような気がする。そして、奴の 気配と一緒に闇もなくなっちまったみたいだ。世界中、ぺらんぺらんの日なた になって、僕らは、あいつの不在をちゃんと哀しむこともできないまま、永遠 にぬるーい日なたぼっこをしてる。Gを待ちながら、ね。
桃色のキャンディー・バーは公園の砂場に突き刺して 逃げろ、未来へ 村上きわみ
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