最初の小学校は家から20分程歩いた場所にあった。 交通量が多い通りを抜け、畑の脇を通り、 住宅街を抜け、公園を横切り、銀杏並木を抜けたところだ。 途中の床屋の張り紙にいたずら書きをし、 途中の畑で赤とんぼを追い、 途中の公園でどんぐりを拾い、 途中の銀杏並木が綺麗だと感じていた。 ちょうど通学路の真ん中ぐらいに駄菓子屋があって、 そこにあるガチャガチャで時々お小遣いを費やしては、 欲しくもない消しゴムに変えたりしていた。
小学校3年の時になって、 初めてバレンタインにチョコレートを貰った。 隣の席の子だったように思う。 その子は、自分のほかにクラスで格好いいと思われる 男子二人にもチョコレートをあげていたので、 それがどういう意味を持っていたのか良く分からなかった。 貰った後、恥ずかしくてすぐ机に隠すようにしまった。 その子はそのすぐ後転校してしまったのだが、 3つのうち僕の貰ったものだけが本命のチョコだったのだと 後にその子と仲の良かった女の子が教えてくれた。
その子とはその後1回だけ何かのイベントで見かけたが、 それっきりだった。
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昨日は一日の殆どをソファで寝て過ごした。 薬を使ったので、目を開けていた時間は一時間にも満たないと思う。 人はこんなに眠ることができるのかと、我ながら驚く。 お陰で今日は全然眠れないのだが。 幾つか夢をみていた記憶があるが、内容まではよく覚えていない。 そういえば一昨日は夢に君が出てきたが、 出てきたということ以外はやはり記憶から消えてしまった。
そんなわけで、携帯に留守電が入っていたのを知ったのも 今日になってからだった。 折り返し電話をして、その日に会う都合をつけた。 テンションは最低だったが、誰かと話をしたかった。
電車の中で、今日書くつもりの日記の文章を書いていた。 が、さすがゴールデンウィーク。 通勤ラッシュでもこんなに混み合わないのに 電車は凄い人で途中で席を譲ったので中途半端になった。 待ち合わせの繁華街もとんでもない状態で、 待たずに座るには、ちょっと離れたカフェまで 足を伸ばす必要があった。
おかしなテンションのまま、 僕はただ話したいことを話す。 話せば話すだけ楽になった。 ただ、彼の言うアドバイスめいたものは あまりに正論過ぎて、それについては頷くしかなかった。
でもそれで、少し前に進むんじゃないかという予感もした。
パスタ屋で食べきれない程のパスタを平らげて、 穴場のカフェに移動してつまらないことを喋り倒した。
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