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中野孝次  「犬のいる暮らし」
2002年02月12日(火)

中野さんはカフカなどの翻訳者。
以前に「ハラスのいた日々」という本を出されて
それがテレビドラマになったときに見て、
それから翻訳ではないものを読むようになったのだ。
ハラスの時は、ハラスが可愛くて、犬のことにのみ気を取られて読んだし、見たものである。
この「犬のいる暮らし」は、もちろんハラスから始まって
マホ、ハンナ、ナナという芝犬を飼っての思いが書かれているのだが、
人と犬のかかわり、特に、
「老後」といわれる世代の人にとっての犬との関係が、
実生活を通してつづられている。

ヘッセやゲーテやカフカを愛してやまなかった氏が77歳の今
心(しん)から思うこと。

「人にあるのはいま生きてここに在るという時だけで、
未来とか過去という時があるわけではない
人にできるのは、生きてここに在ると言う時を
力いっぱい押してゆくことだけだ
そこにおのずから未来が生じ、過去が生まれるに過ぎない」

時間を「過去から未来に向かって延びる棒」と思うことを止めた
と書かれている

そういう世代にとって、必要とされること
その喜びを最大限に与えてくれるもの。
それが、氏にとっては犬たちなのだ。




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