日々の思い

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一瞬の光の中で  
2002年06月04日(火)

ロバート・ゴダード また、見つけてしまった文庫本

ミステリーがどこまでも、ミステリー。
最後まで、ミステリー。

ゴダードが書く男性の主人公は、なぜか駄目男が多い。
人生をリタイアしていたり、詐欺師だったり・・

この本の主人公、イアン・ジャレットはプロの写真家である。
ちょっと家庭内が、うまくいっていなくて、
過去に、浮気の相手とドライブ中に、女性をひき殺したことがある。
事故つまり過失はなかったのだが。
あまり思い出したくない過去であり、実際、それほど気にしても
いない。

仕事で、写真を撮りに来て偶然に被写体の中に入った一人の女性
その出会いから物語は始まる。
一瞬のうちに恋に落ちた二人。

必ず、また会おうと、家庭を捨てる決心をする。
イアンは約束どおりにホテルで待つが、マリアンは、
電話をかけてくる。
「やっぱりあなたには、会えない。そして、決して探したりしないで。」と。

仕事も家庭もすべてをなくしてしまったイアンは、
ただ探すことしか頭に浮かばない。
手がかりを求めて突き進むが・・・

心理療法士にであい、マリアンが、通っていたことを知り、
しかも、彼女の名前は、本当はマリアンではなくエリスと知る。

その後幾重にも絡まった糸を丹念に解いていく。
エリスは、過去の時代に生きた女性マリアンに、時々、精神浮遊してしまうのだ。心理療法士のもとに、エリスが話した隠された真実が、
テープに残っていた。
そのテープを手がかりに、二人で、探すのだが。

この後に、本当の謎解きが始まる。
マリアン、つまりエリスは、作られた虚像であって、
イアンが探すべき相手は他にいた。

イアンが過去に殺した女性イソベルに本当の意味があったのだ。
彼女の弟、ナイマンガ何年もかけて、周到に用意した、恐るべき
復習劇が始まっていたのだ。

彼の復習は、イアンがすべてをなくすこと。
一番大切だと思っているものをこの世から葬り去ること。

冷静に、緻密に考えられた、恐るべき陰謀の数々。
佳境に入るほど、血も凍る事実が。

最後に、最愛の娘、エイミーは16歳の命を奪われる。
そして、ナイマンはピストルで自殺。
すべてが筋書きの通り。

ほんのときおり、陰のようにひっそりと息遣いが聞こえてくる、
エリスは、彼のすべてを知っていて、最後まで姿を現すことはない。

この後彼は、どう生き、どういう決着をつけるのか。


写真は、生者と死者を区別しない。
時の断片の中に、光の破片の中に、写真は
人々の構図をはめ込む。すべての人をひとしく。

カメラのレンズをのぞいてシャッターを押すかどうかが、重要なのではない。
目を開けていようが、閉じていようが、それさえたいしたことではない。
写真は常にそこにある。そして、その中の人々も常にそこにいる。



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