6回で1回の無料分があったので、ちょっと興味を引かれた二重スパイを見ることにした。韓国映画は多分初めて見る。 映画館でチケットを買う人の殆どが話題の「マトリックス」で、中に入ってみるとなんと皆で6人。ここまで少ないのは初めてだった。 ラブストーリーか、サスペンスか、かなり興味深々。ラブストーリーが八分というところ。そういう意味ではサスペンスが好きな私にはちょっと物足りない感じ。 映画は地味な仕上がりだが、しっとりとしていて工作員のイム・ビョンホ(ハン・ソッキュ)がいい。東ベルリンから抜け出すシーンは、小説でいつも読んでいたシーンそのまま。銃弾に足を貫かれながらやっとたどり着いた西側で「自由の国へようこそ!」の台詞。しかし、ビョンホにとっては、革命のための潜入だった。 目を覆うような拷問に耐え、南の情報部に信頼を得るようになって、みんなの前で演説をする。旗を打ち振って「万歳(マンセイ)」と何度も叫ぶ様子は今の北を見るような気分にさせる。 チョンチョンガンは医師として地域の人々に尊敬されていたが、彼こそが北の大物スパイ。その本当の姿を現した時の目が、冷徹で信じるものの強さが溢れていた。その彼が捕まりそこから、ビョンホにも疑いの目が。 北のスリーパーであるスミと何度か会ううちに二人の間に違う感情が芽生える。 留学生を大物スパイに仕立てようとする南の情報部や、ビョンホやスミを消してしまおうとする北。革命のためと信じて疑わなかったヒョンホだけど愛のために生きる道を選ぶ。 南から第1級の機密を盗み出しそれと引き換えに外国に逃れる。 それから2年後、ビョンホの帰りを待つスミのお腹には赤ちゃんが。 アパートの下に不審な車と二人の男、スミのはだしの足がとても美しい。 ビョンホの車の中にはスミにプレゼントするためのかかとの低いサンダルが。道路に故障した車が止まっていて、現地の青年が助けを求めている。 通り過ぎれば良いのにと思う私の思いとうらはらにビョンホは止まり彼を助ける。青年は最後まで丁寧すぎるお礼を言いせめてもと何かを渡す、あれが爆弾かもと思った私を裏切るように、車に戻っていくビョンホに青年は声をかける。 「ありがとう。イム・ビョンホ」 呆然と立ちすくむビョンホに銃弾が打ち込まれる。 スパイの末路とはこんなもんだよという声がどこからか聞こえてくる気もするが、なりたくて(洗脳されて)なったビョンホ。 スミは父親がそうだったために運命付けられた。なりたくてなったわけではない。悲しい物語としてだけ受け止めるだけで良いのかと心が痛んだ。
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