![]() |
![]() |
池の鯉たちにたくさんの麩を持ってきて投げ与えている二人の少年と母親らしい人。 子供たちの一人は小学二年生くらい。 もう一人は多分3歳か4歳。 二人は兄弟と言うより多分いとこ同士。 そしておかあさんは、小さいほうの少年のお母さん。 とっても美人で、カメラをぶら下げているが写してはいなかった。 我が家のわんこは、お麩の香りと、子供たちに撫でてほしくて寄っていく。 麩を全部投げ終えるまで待ってから、興奮しまくっている子供たちのそばから離れたのだけど、わんこはまだ、未練があるらしく何歩か歩いては立ち止まり、その子達がその場所を離れると自分のそばに来てほしいので、とうとう伏せをして動かなくなってしまった。 少年たちは屈託なく笑いながら、そばを通り過ぎる。 そのとき年上の子がいかにも可愛いと言うそぶりで、年下の子の手を両手で一度持ち、しっかりと手をつなぐ。 年の多い子が明るい声で言う。 「赤ちゃんていいよね」 年下の子もいう。 「うん、そうだよね。 もし戻れるのなら僕も赤ちゃんに戻りたいなあ」 私はおもわず心の中で「君は今のままで十分赤ちゃんだよ。かわいいもん」とつぶやく。 続けて彼は言った。 「おかあさん、抱っことか言ってね、抱っこされたり出来るしね。いいよねえ、赤ちゃんて」 私は、思わず後ろを歩くお母さんらしき人に笑顔を向けてしまった。 もちろんそのお母さんも、幸せな顔をしていた。 その少年たちは、あっちの公園に行って遊ぼうよと、小さな子供たち用の公園に走っていった。彼らは多分親類の家の赤ちゃんにあってきたところだったのだろう。 赤くてちっちゃくて、いいにおいがする赤ちゃんを見て、お母さんにいとしそうに抱っこされている赤ちゃんを見て、自分が大きくなっていることが嬉しいのと、照れずに抱っこされる赤ちゃんがうらやましいのがごっちゃな気分で交じり合ってとっても幸せな気分に浸っていたのに違いない。 ああ、こんなに可愛い少年たちのお母さんもきっと幸せだろうな。
|
![]() |
![]() |