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昨日見たテレビに辰巳芳子さんが出ていた。 もう年は80歳をとうに越えてらっしゃるのだが、「かくしゃくとした」という表現にぴったりの方で内面からにじみ出る芯の強さと美しさを滲ませながらゆっくりとした口調で話されていた。 今、スープに力を入れていらっしゃるそうだ。 料理の基本は「出汁」だとおっしゃる辰巳さんは自宅でお弟子さんを取ってらっしゃるのだがそのお弟子さんたちは、全国から通ってきていて順番待ちをしている人が相当数いらっしゃるという。 今、私なんかは簡単で美味しいものというキャッチフレーズだけを追い求めてそういう料理書だけを頼りに、それよりもっと楽に楽に出来ないかと、楽に楽にを追い求めてしまっている。 そうすると、丁寧にすることをきらい、本当の食材の味を忘れてしまいそうだ。 彼女の言葉で、「あなたが愛する人のためにお料理を美味しくつくってあげたいと心から思うなら、簡単、楽になんて思うのはおかしいでしょ?本心からそう思うのなら丁寧に丁寧に、やるはずよ」外から帰ってきたご主人や子どもたちが今夜は何?と聞いたときに「何でもあるわよ」と、答えるのと、「これしかないわよ」と、答えるのとでは大違い。 「何でもあるわよ」と、いって御覧なさい。 そして、そこにある材料で、丁寧に作ってあげることです。 表現がちょっと違うのだけど、そんな風なことを言っておられた。 聞いていて、なにか涙が流れてきて、心が洗われた気分だった。 一度、彼女が書いた本を読んでみたい。 そして、心に感じるままの料理を作って見たいと切望した。 しかし、現実には、簡単に出来る炊飯器での「りんごのタルトタタン」を、作ってしまった私がいる。
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