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お昼に1通のはがきが舞い込んだ。 中学のときの同級生。産婦人科に勤務してもう40年、2月の末で退職しましたという案内状だった。 彼女はおとなしい人で、なおかつ成績優秀だった。 クラス委員だった彼女は高校を卒業すると同時に、まるでさらわれるようにして(表現は悪いけれど) 地元の病院に連れて行かれそこに勤務することになった(病院の院長が彼女の性格にべたぼれで どうしても自分の病院で働いてほしかったからだ) そして、40年・・・ 私はその病院に結婚前わずか半年だけ勤務したことがある。 結婚して、遠くへ行くことを十分承知の上で半年でいいからと口説かれていったのだ。 彼女は、そのときも、その後も、以前とちっとも変わらず物静かで優しい看護婦さんだった。 内科を兼ねた病院だったので患者さんはお年寄りも多く、 優しい彼女は患者さんたちの心の拠り所だったと聞いた。 その間に彼女は結婚し子供を育てながら、立派に婦長としての勤務を終えた。 気の遠くなるほどの長い時間に、彼女はどれほどの人たちの心の支えになったんだろう。 何人の赤ちゃんを誕生させてきたんだろう。 なんにも残すことなく無為に過ごしてきた自分の時間を思い、 彼女が、すごしてきた時間をあらためて思う私である。
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