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とにかく整理整頓が苦手だ。 どんどん物が増えていく。もう少しまとまったらそこからはじめようと思うのだけど、 その時になると、今日はお天気悪いしとか、なんか気分が乗らないしとか、 自分に言い訳をいっぱいこしらえて後回しにする。 ようするにものぐさなだけなのだ。 母親は、そんな私のために家にやってきては次々にモノを片付けていく。 あ、待って、それは要るのに。 なんて 口は決して挟めない。 「こんなもん、なんになるの。場所ふさぎになるだけ」と 手厳しくさっさと片付けていく。 その度に、「待ってよ、もう少し考えてからにしてよ」 と思うのだけど、一切受け付けない。 しかし、そんな母も、数年前から1人では来ることが出来なくなってしまった。 昨日、何年ぶりだろう、久しぶりに妹に連れられてやってきた。 朝5時から起きて煮込んだ、たけのこや、イカなどを鍋ごと温かい状態で持ってきた。 そして、笑うのだ。 「80歳になろうとする母親が60歳になろうとする娘のところにくるのに 料理持参のその上に、畑の支柱立てまでするなんて」と。 しばし、つもり積もった愚痴やその他思いのたけをしゃべった後にやおら、 周りを見回して、 「そのキャスターつきのモノ入れはどう見ても邪魔だ。 中身をどこかに移すとかして外に出すとかよその部屋に移すとかしろ」と、 言ったかとおもうと、その方法を考えている。 去年まで母にはいろんなことがありすぎて、もう元気にはなれないんじゃないかとずいぶん心配した。 目いっぱい傷つけられた心はずたずたのままなのだけど そこに少しずつ潤いが戻ってきてるのが分かる。 どうか、安らぎが少しでも増えるようにと、願わずに居られない娘である。 そのために、60歳を過ぎようといつまでも母の手をとる仕様のない娘で居ようと思う。
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