パラダイムチェンジ

2006年01月24日(火) ほりえもん「前後」で考える彼の功績

ホリエモンこと堀江貴文ライブドア社長がついに逮捕された。
元来が天邪鬼な性格のせいか、マスメディアがこぞって彼をバッシング
しているのを見ると、少しは彼の功績について考えてみたっていいのに、
なんて気になってしまう。
ということで考えてみた。

ホリエモン逮捕と聞いてから一夜明けて、考えたのは「彼はイカロスだっ
たのかなあ」という事である。
イカロスというのは、ギリシア神話に出てくる人物で、親とともに鳥の羽
をロウで固め、人間として空を自由に飛ぶことに成功したとされる伝説の
人物。

ただし、空を飛ぶことに夢中になりすぎて太陽に近づきすぎたがゆえに
ロウで固めていた羽根が焼かれて、地上へまっさかさまに落っこちて
しまうのだ。
なんか時代の寵児ともてはやされ、そして落ちていく様が似ているという
か。

イカロスの行なった事に対し、太陽に近づかなければよかったのに、とか
そもそも人間が空を飛べる訳ないじゃん、という評価があるのはもちろん
だと思うけれど、これは寓話の世界だとはいえ、空なんか飛べっこないと
思い込んでいた人間に対し、知恵と工夫で空を飛んでみせた事は評価して
もいいんじゃないかな、と思ったりする。


同様にホリエモンの行なった事に対しても、私は彼のような立ち居振舞い
は出来ないし、そもそも性に合わないし、株取引さえしない人間ではあるが、彼が時代に風穴をあけた(ように見える)事は評価してもいいんじゃな
いかな、と思うのである。

だって、ホリエモンが出てくる前のたかだか2年前の日本と、今現在の
日本だと、やっぱり雰囲気って違ってきていると思うし。
それは景気が上向いてきているのが実感してきたりとか、その景気動向の
背景には世界的な金余り現象とか、日本企業の好調さといったものがあり。

もちろん、それらすべてがホリエモンの功績であるわけではない。
むしろ彼はそういう時代背景を基にして踊らされたのか踊っていた人間
だと思う。
でも、2年前のプロ野球再編問題の頃って、やっぱり何となく時代の雰囲
気が暗かったと思うんだよね。
先行き不透明さというか、閉塞感みたいなものが今以上に強かったと思う
し。

それに対してプチバブルとも評された昨年の年末の「イケイケドンドン」
な雰囲気作りの一翼をホリエモン的なものが担っていたと思うのである。
それがいいか悪いかは別として。
だからそういう時代の雰囲気が大きく変わる象徴、イコンとしての役割を
「ホリエモン」というキャラクターが担っていたんじゃないのかなあ、と
思うのだ。

そして要は、彼が開けたかもしれない風穴をこの先どのように評価し、
利用していくのか、ということなのかもしれない。

少なくとも私自身は去年1年を通して生きてきて、今また時代の閉塞感、
みたいなことに悩もうとは思わなくなったし。
その意味でやはり2004年〜2005年という年は、ホリエモンの年として
長く記憶していくんじゃないかなあ、と思う。

また、彼の功績がもう一つあるとすれば、今のコイズミ劇場的政治と、
それを取り巻くメディアがいかに薄っぺらなものなのか、ということを
いやというほど見せつけてくれたのも、彼のおかげといえるのかもしれ
ない。

「会社は誰のものか」とか「本当にお金で買えないものはないのか」とか、
普段考えないような事を考えるきっかけをつくってくれて、その分、
本当に大切なものがどこにあるのかを考えるきっかけにもなったし。
そう考えると個人的にはホリエモン様々なのかも。

逮捕後の彼の行く末がどうなっていくのかは、分からないけれど、
でももし彼が本当に無一文になったとしても、その時彼にとって
「カネでは買わなかったもの」がはっきりしてくるのかもしれない。

それはたとえば、彼の中にあるビジョンであるとか、はたまた今の彼を
支えてくれる人であるとか。
人は一人では生きていけないけれど、資本金を600万からスタートして
今の規模にまで大きく出来た人である。
それだけ彼には、人を巻き込む魅力と、時代の風を読む感覚が備わって
いたともいえるわけで。

今後の彼に同様の風が吹くのかはわからないし、そもそも失ってしまった
信用を回復するのは大変だと思うけれど、彼がそういうカネには替えられ
ないものの価値に気づくのであれば、まだまだやり直せるんじゃないのか
な。

ま、人の事はさておいて、私は私の生きる道をより確かなものにして
いこうと思うのみである。


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harry [MAIL] [HOMEPAGE]

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