連日のライブドアの捜査の報道で、事件については段々と判明しつつある けれど、週刊誌では数々の周辺報道もなされるようになってきた。 その中で目にしてちょっと興味がひかれた記事を紹介すると、
今週発売されたSPA!1/31号では、神足裕司のニュースコラム「これは事件 だ」が面白かった。 それによると今回の偽計取引の舞台とされた出版社「マネーライフ社」は、 「年収400万円の社員が一人でやるから、利益が出る程度」の会社だった らしい。 以下引用させていただくと、
もともとライブドアを関係が深い会社からグループ関連会社に株を移動さ せただけなのに、新たに「子会社化する」と虚偽(偽計)の発表を行い、結果 バリュー社の株価が45倍に跳ね上がったという。
マネー社関係者が不思議がったのは、売買時、それはわずか4200万円の 会社だったことだ(略)
そのマネー社を「子会社化」したからバリュー社(現ライブドアマーケティン グ)の時価総額は高騰。2億8600万円が翌年1月には44億6000万円に跳ね 上がった。その一部を8億余で海外ファンドに売却、ライブドア本体へ。 4200万円の会社を子会社化したら3億円が45億円になった!?(略)
私の夢想かもしれない。 たった一人が働く出版社を舞台にした4200万円が元で、国家の税収にも 近い金額が消えた。
という部分。 偽計取引の舞台となった会社が出版社だった事は知っていたけれど、 それがたった一人の従業員の企業だった、というのがこの事件というか、 錬金術といわれる部分の皮肉さを語っているようであり。
もう一つ、やはり今週発売されたAERA誌1/30号では、昨年のニッポン放送 買収騒動後、1400億円の現金を手にしたライブドアの社内の雰囲気が、 どこか浮かれているというか、地に足が着いていない雰囲気だったと 書いている。 それがどこまで本当なのかは分からないけれど、でも1400億円という大金 には、思わず気を緩ませる力があったのかもなあ、と思うのだ。
元々の念願だったメディア支配は出来なくて、目標を失った、という事も あるのかもしれないし。
それに本業で頑張らなくなって、堀江社長がバンバンメディアに露出し、 どこかの企業を買収したと発表しさえすればどんどん株価は上がって いったんだとすれば、やはり濡れ手で粟というか、あほらしい気分に なっても不思議はなかったのかも。
そして、そういう時期にホリエモンに対し、政界進出を打診した自民党、 そして武部幹事長はやっぱりババを引いたというか、人を見る目が本当に なかったんだろうなあ。 それだけ、あの当時の郵政解散選挙では小泉陣営も抜き差しならぬ、とい うか、切羽詰っていたのかもしれないけれど。
でも、少なくとも今まで自分の言葉に対して責任を持つ、ということが 一番の支持基盤だったように思われる小泉政権にとっては、打撃は与えた だろうと思うのだ。 武部幹事長に関しては、今まで人との関係を斬りすぎて恨まれていても 不思議ではないし。
これは週刊誌ではないけれど、スポーツライター玉木正之氏のサイトでは 知人の話として。「ホリエモン逮捕はポスト小泉を見据えたうえでの ナベツネ−ナカソネ−カメイら守旧派によるコイズミ−タケナカ路線 に対する反撃やね」という意見が載っていた。
本当のところがどうかは分からないけれど、少なくとも今まで抵抗勢力 よばわりされて、小泉政権下で冷や飯を食っていた人たちが勢いづいた のは、間違いないのかもしれない。 いずれにせよ、その政局に国民不在なあたりが何だかなあ、って感じなん だけど。
さてナベツネといえば、今度ライブドアの社長に就任した平松庚三氏は ソニー入社前にナベツネ氏の下で働いていたらしく。 ナベツネが何か意見を言っていたのを報道ステーションでやっていた。
その平松庚三新社長が、弥生会計の社長としてのメッセージを弥生会計の サイトに載せている。 以下、引用させていただく。
「経営者はネアカでなければならない」これは、盛田氏から繰り返し言われたことです。 リーダーはいつも前を向いて、すべてをポジティブに考えることからスタートする。トップが前向きなら、それが会社中に広がっていくんだと。 厳しい市況の中でネアカになれないときは、社員に対しても、自分自身に対しても、ネアカになったふりをする。そうすると、不思議なことに本当にネアカになって、いいアイデアが浮かんでくるんですね。 経営者はネアカでなければならない "Be positive" という盛田氏から聞いたことは、もはや私のDNAになっています。 また、経営というのは資源をマネジメントすることといえます。経営の資源には、資金、技術、動産、不動産、時間などもありますが、もっとも大切なのは人です。給与やポジションだけではなく、ビジョンを共有できる人物かどうか。特に経営陣には、何かしら私よりも優れたものを持っている人物を選ぶ。優秀なタレントを集めること、そして彼等を動かすこと、それが私の仕事といえるでしょうか。
「ネアカ」で、人を大切にするマネジメントというのは、これからのライブ ドアの経営者にとっては、一番大切な資質なのかもしれない。 波乱の船出で、今後どうなっていくのかは分からないけれど、ライブドア のサービスを、ささやかながら利用している立場としては、今後の ライブドア社がどうなっていくのかも注目していきたいと思う。
ということで、これで私のライブドア関連に対する感想はとりあえず 打ち止めにしたいと思います。
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