CYMA’S MURMUR

2002年07月08日(月)   真夜中の恐怖、ささやかな結末


蒸し暑い夜、熟睡中の午前3時半。
玄関のインターフォンが鳴った・・・気がした。

眠りを破られて不機嫌になりながらも、
ドアの外に誰かいる気配に一気に心臓が冷える。

一体誰が真夜中にインターフォンを押すのだ?

先日の鍵騒動で鉄壁の守りが証明されたとはいえ、
その気になれば錠なんてあっという間に破壊される。
それよりも、ここは1階なのだ。
ベランダへの侵入はあまりにも簡単。
窓を割られたら終わりではないか。

泥棒が、人がいるかどうかを確かめるためにインターフォンを押したのでは?

まだ寝ぼけた頭でそんなことを考えながら、
部屋中の明かりをつけ、玄関前で息を潜める。

魚眼レンズで確認する。誰もいない。

数分様子を見ていたが、何も起こらない。

気のせいだったのだろうと自分を納得させ、
眠ろうとベッドに戻った瞬間、再び玄関で物音がした。

心臓が跳ね上がる。

足音をしのばせて玄関へ。
・・・誰もいない・・・

でも確かに音がしたのだ。
確認したくても怖くて扉は開けられない。

結局明かりをつけたまま、緊張しながら眠りについた。

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そして翌朝。

出勤しようとして玄関でキーを捜すが見つからない。

はっ!と思い当たった。

またまた心臓が凍りついた。
それと同時に昨夜の物音の原因がほぼ確定された。

私の予想が正しければ・・・
あるモノを期待しながら、ゆっくりとドアを開ける。
ドア枠の淵に、小さな張り紙。

「ポストの中を確認してください。102 山田」

安堵と恥ずかしさで今度は一気に顔に血が上る。


ことの起こりは前日の夜。

会社から帰ってきた私は、
マンションの入り口で小さなゴキブリを発見したのだ。

一人暮らしで初めての夏。
あの生き物と遭遇したくない一心で私は様々な情報収集と予防策をとってきた。

部屋の外での遭遇とはいえ、
隙間から我が家に侵入する可能性があるものを見過ごすわけにはいかない。

慌てて家に飛び込み、玄関に常備している「ゴキジェット」でゴキブリを退治。

そして。

そそっかしい私は、あろうことかキーをドアにつけたまま放置してしまったのだ。

真夜中に帰宅した心優しい隣人は(まだ顔を合せたことはないのだけれど)、
隣家のドアに刺さりっぱなしのキーを見てインターフォンを押してくれたらしい。
返答がないので一旦家にもどり、親切なメモを作成して我が家のドアに貼り付け、
キーそのものはポストに投入してくれた、ということだ。

なんていい人なの、山田(仮名)さん!
運が悪ければその鍵を使って押し入られるところだった。
気づかない間に合鍵を作成されたりしたら大変なことになっただろう。

それにしても、私はアルツハイマーか何かじゃないのか。

キーをさしたまま忘れてしまうなんて。

隣人もキーのついたままのドアを見て、
不可解に思ったことだろう。

ああ、本当に山田さんありがとう。

以後気をつけます。





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