蛇腹食堂
書人*なび太

   

  




自意識過剰なのはわかっちゃいるけどさー
2003年08月17日(日)
「ボロは着てても心は錦」

素晴しい言葉である。
かくもせちがらい世の中において、
このような生き方を貫き通すことができたら、
いかに充実した「生」であろうか。

しかし、現実はそれほど甘かろうか。
否。

今日、
マックでチキンナゲットを食していた際、
うっかり、というか、しっかり、
例の真っ赤なソースを服に飛ばした。
真っ白なTシャツに、だ。
慌てて拭き取ろうとしたところ、
案の定シミは広がり、深く繊維に浸透していった。
コテコテである。

自称「品質第一」のハンバーガーを格納し終え、
折り良くポンコと膨らみ始めた腹の頂点で、
薄らピンク色のシミが思い切り自己主張している。
恥ずかしい。
しかし、
このままマックの店内で生涯を終えるわけにも行かず、
かといって上半身裸で町に飛び出す勇気もない。
仕方がないので、薄らピンクを腹に乗せたまま、
道端をオドオドと歩くチワワの如く、ひっそりと店を出た。

街行く人々の目が、
全て腹の薄らピンクに集まっているような気がしてならない。
こんな時に限って、どういうわけか赤信号によく捕まる。
前で信号が変わるのを待つ親子連れ。
不意に振り返った子供の目が、
一瞬にして、僕の腹の頂点に釘付けになる。
しばらく薄らピンクを観察した後、
少年は僕の顔をチラリと仰ぎ見た。
そして、「何か悪い物を見てしまった」と言わんばかりに、
慌てて首を前に向け直すと、
母親の手をギュッと握り締めた。

く、屈辱…。
何も悪いことなんかしてないのに。
いや、27歳にもなってバーベキューソース飛ばしたけど…。



たった一つのシミのお陰で、
心は錦どころか、うずまく汚泥の如くどどめ色に染まった。
僕には、
この物質文明至上主義の世の中で、
ボロを着つつ心を錦に保つ自信がどうにも湧いてこない。




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