2002年06月06日(木) |
『ロミオとジュリエット』 |
熊川哲也がチューリッヒバレエに客演した、『ロミオとジュリエット』。 やはり、ロミオとジュリエットは美男美女でなくてはならないのだなと、実感する。そして、マキューシオが最もオイシイ役であることも。 ロイヤルバレエの来日公演ではこの役を熊川君が踊っていたが観損ねてしまった。惜しいことをした。 恥ずかしかったのは、2人の寝室のシーン。まさにめくるめく愛の世界(笑) 映画などでは、若い役者を使うこともあってか、若さと美しさと悲劇を中心にストーリーが展開していくので、それほど感じないが、バレエは2人のパ・ド・ドゥがメインである。その場面が…寝室のシーンである。バルコニーではないのだ。ジャンプや回転などの見た目の華やかさはないが、情熱的なパ・ド・ドゥで、とても美しい。 剣を使用してのマキューシオとジュリエットの兄の決闘シーンは、思わず息を呑んでしまうほど、交わされる剣の速さや鋭いツキに驚く。いつダンサーを刺してしまうかと、はらはらし通しである。しかし、そこはさすがに、プロ。フェンシングをやったことはなくても、型が振付としてとらえられているから、動きが「舞う」ように優美だ。 それにしても、本当にマキューシオってロミオに愛されてると思う。話の展開上ありえないが、もしも何かのはずみでジュリエットがマキューシオを殺してしまったとしたら、ジュリエットから去ってしまうのではないかってくらいだと私は思うのだが、どうだろう。 そんなこと考える人はいないか(苦笑) そして、ラストシーンは真紅のバラ。 昨年のKバレエカンパニーの『ジゼル』でも、ラストに白ユリが舞台上にぶちまけられたが、花が散る様は何と悲劇に似合うのだろう。その花も、華やかさが際立つものであるほどに美しい。天から降る真紅のバラは2人の情熱を称えるのだ。 ダンサーもさることながら、舞台全体に、良いものを観たという満足感をたっぷり味わえた。
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