被害妄想の強いKさん 食事は「喉を詰まらせて殺される」 薬は「毒をもられる」と 拒否しているそうです 摂取量は全体の5分の1程度 水分は5口なんていう記録が 当たり前になってきました
今朝も私がKさんの居室に入ると この棟の主任がやってきて 「・・・これさ 飲ませてもらえる?」 下剤です 液体のもので 無味無臭のため 飲み物に混ぜたりするのですが 主任の話だと そのままのほうが確実だとか・・・ 了解して主任がいなくなってから スプーンで渡された下剤に ジュースを少し足してKさんのほうに向くと (・・・・お前もグルか) みたいな顔で見ていてびっくりしました 何の薬でありどうしてこれを飲まなくてはならないのか わかるまで話します 「飲んでお通じがあろうがなかろうが 私にはもうどうでもいいことなのよ・・・」 こうなると 少々厄介ですが 少しでも不快感を取り除いて差し上げたいと 気持ちよく過ごしていただきたいという思いを伝えます 『Kさんがいないと寂しい・・・』 この言葉が 何よりの薬になるようです
そんな中で 私の続けている水分補給では お茶を200cc ヨーグルト お菓子 と この量はほぼ毎日摂取しています 先週 我が家でいただいたお饅頭のおすそ分けで Kさんに差し上げたものを食べていただいていると 「文明堂のカステラが食べたい・・・ カステラは美味しいね」 と 独り言のようにつぷやいたのです 『娘さんが見えたら また頼みましょぅねぇ』 何度かお願いしている品です
それが我が家からちょっと離れたスーパーに 銘菓のコーナーがあり なんと ちょこんと文明堂のお菓子が並んでいるのです (!!Kさんに買っていこう!!) そして 今日そのカステラはKさんの口に・・・ 「幸せだねぇ 食べたいものが食べられるなんてねぇ」 と 顔をくしゃくしゃにして喜んでくれたのです 食べられなくなってしまったのと 「食べるものか」と妄想に取り付かれた今 カステラ1個で 心が温かくなるなんて 素敵なことですね 言葉や態度で癒すのが 私の仕事だと考えていましたが 「食」でも 癒しになるものなのですね Yさんの言う 「あんたの買うお菓子が一番美味しいわ」 という言葉も 「食」の癒しからだったようです
(食べたいって言ってたっけ)(これはきっと喜ばれるな) (これなら食べられるかも) 今までそんなことを思いながら スーパーを歩いている自分が 職業病!? なんて 笑えていたのですけれど・・・
|