担当のKさんが 朝からご機嫌斜めで 眉間にしわを寄せて 時より大きな声を出しています やることなすこと気に入らない感じで 「はやく・・・はやくしてよ・・・」 と 力なく訴えます 考えすぎたり 思い込みが激しいと Kさんのように年を取るのかな と 思うことがあります 被害妄想で 自分が寂しいのも みんな人が悪いと思っているのです ・・・まぁ 私自身 我が振りなおせという気もしますが・・・ 自分の体が利かないことも おしっこが出ることも ウンチが出ることも みんな人が悪いのです 爪が伸びていて 爪の中が汚れています おそらく数日前の便が詰まったままなのでしょう 爪を切って 手を洗っていると 「はやくしてよ こんなことしてていいの? あんたが のろいから駄目なのよ」 はっきりと話せなくなった言葉ですが 何を話しているのかわかりました 『何を早くして欲しいのか教えてください 早くしたいことがあれば 私が早くしてあげますから』 にっこり笑顔で切り返すと それっきりです またしばらくして思い出すと 「はやくーはやくしてちょうだいー」 と なるわけです 私の勝手な憶測では おしっこが出ていて「おしっこがでた」と言っても 用意に換えてもらえない 便の場合も同様 「換えてちょうだい」が「はやくー」 になっていったと思うのです それが すべて「はやく」につながり 「はやく起こして」「はやくつれていって」 「はやくおしえて」 と はやく の一言で済んでしまっているみたいです 私と2人のときのKさんはここまで 車椅子で部屋を出て 他の棟へ出かけると 一変します 通りすがりのヘルパーが 声をかけるたび 愕然とするような笑顔と応対です 「Kさん こんにちは」 「まぁ お元気そうね こんにちは」 なのです 知っているヘルパーは 「今日も外面がいいね」 なんて 私に耳打ちしたりします 『まぁねぇ 外に向けてあれだけの笑顔なら 部屋での不穏はいいとします』 私にわがままが言えて それは中 笑顔で対応が外 だとしたら それができることはまだ社会性が残っているということで まだ精神的には機能しているということですものね 良しということです
そしてこれが私の仕事なのです
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