くるくるくろりくくろにくる
いんでっくすふるいのあたらしいの


2004年03月19日(金) MATRIXを創らせし物

すげーーーー期待!とかしていなくて、どちらかと言えば「押井の9年ぶりのアニメだなぁ(  -o)y-~~~ スパー」ぐらいの平常心で見てきました。

『イノセンス』

あああ、もう、押井ワールドにドップリでした。
アバロンで構築された彼の世紀末的(だから、もう既に現実の時制は世紀末では無いのだけれど、混沌とした世界を生きている我々はその呪縛から逃れることは出来ないのでしょうね)な世界の風景の再現化。色と構成とアングル。
そして物語は少佐を失った(?)バトーを軸に進む。
士郎正宗なのか押井守なのか、攻殻機動隊は誰の物なのかもう判らないところにあるような気がするが、少なくとも彼らの作り上げたあの世界がMATRIXを引き寄せたことだけはよくよくよく判った。
ハッキングされて見せられる無限ループの悪夢に酔いながら、螺旋階段を登るネオを思い出したりするのも、当然と言えばあまりに当然な成り行きで。
そうして見入っている映画の中で、既に自分の意識がその映画を通り越した遥か向こうに行っていることに、無意識に少佐を探していることに徐々に気がつく。まるで、バトーのように、宛ても無く少佐に向かいネットの海に飛び込まんばかり…

少佐に対する憧れってのが漠然とあったけど、その理由がハッキリしていく。

もう、本筋とか主題とか関係ない。これは少佐の物語だ。

ラスト15分頃に、忽然と登場する一台のガイノイド。
彼女がバトーの銃を抜き取り向き合うシーン。
あれが一番いい。何度でも見たくなる。鳥肌が立つ。

少佐は己が信じる生の中に居る。

私が考えても越えることの出来ない概念の向こうにいとも容易く潔く行ってしまった人だから憧れるんだろうか?


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