湿った空気の中を底の擦り減った靴を鳴らし歩く服越しに僅かに感じる雨滴と唇を湿らす冷たさ強くなってきた雨脚は服を濡らし始め綿の生地に音を立てて吸い込まれる落ちてきた髪が視界を邪魔し鞄を持っていない手でただ上にかき上げる体は濡れていき体温も奪われていくが嫌いではない雨は等しく降り続ける