あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 (断片) 2002年04月28日(日)

 
 よちよち歩きの娘は
 振り解いた手を
 空にかざす
 花冷えの空は
 どこに果てがあるだろう
 掴めもしない縁を
 手探りで背伸びしながら

 いつか
 その幼い手は
 無心さゆえに
 たどり着くのかと
 恐ろしくなる

 願い事を
 ひとつひとつ捨てながら
 私は春を迎えてきたはずだ
 否応無く
 世界を覆うもの
 その度に目隠しは増え
 息を詰まらせながら
 季節は繰り上がり
 繰り上がり

 教えもしない言葉で
 娘は春を語る

 あの鳥を撃ち落せば
 空は広くなるだろうか


 
 
 
  



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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe