あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 ケロケロフラッグ 2002年06月17日(月)


昔、雨の道で蛙を拾った

「蛙の皮膚は毒なんだよ」
握り締めた緑色の生き物は
手のひらに渇いた皮膚を残して潰れた
それ以来ケロケロ
僕の手のひらは蛙だ

水の匂い雨の匂い朝露の匂い
薄い皮の部分は敏感に嗅ぎ分けて
ケロロ水が欲しい
ケロロ水が欲しい
ゲゲゲ触れば敏感すぎて失神する
ああ、水を求める生き物の純粋な欲求の形

昔、雨の道で蛙を拾った

冬の間は眠くて仕方の無い手のひらも
この時期は呆れるほど貪欲に動く
ケロケロ素敵な恋をしたいなあ
それは蛙の欲求だろうか
それとも僕の欲求だろうか

雨が降る田が満ちる匂いがする
仲間達の恋の声に皮がぴくぴく震える
ケロロ恋がしたい
ケロロ恋がしたい
ガラス窓にへばりつくメス蛙を
拾い上げてやるべきなんだろうか
薄い皮膚どうし触れ合う感覚を想像して
ちょっとだけ、あはは
僕も誰かに触れたくなった






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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe