あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2002年06月26日(水)

饒舌な鳥が
僕の足跡を克明にうたうので
歩くことを止めようと思うのです

土踏まずの不完全な丸みが
柔らかな泥に触れてしまう事は
たいそう恥ずかしい秘密だったのに
六月の雨が窪みを満たして
ますます鳥が笑うのです
水浴びするにも足りないと

冬の土くれをかじり
春の若菜をはみ
雨にくたされる蔦をねぶりながら
まだ
まだ
もっとと
歩いてきたのに
足りないのです
鳥ですら満たせぬのです

ならばいっそ
噤んでしまえば
固く閉ざして立ち止まれば
宿り木ほどにはなれるでしょう
雨が降ろうと
日が照ろうと




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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe