あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 (無題) 2002年09月10日(火)


ほら、ごらん
降り積もる声の重さに
三半規管が捻れて
季節の変わり目を知るのです

白茶けた庭に
貴方は植えたのでした
春を告げる木蓮と
夏を知る百日紅と
色づいていく銀杏の葉に
ふと思い出すのです
曲がった背中が
紡いだ幾つもの歌を
夏には秋を
秋には冬を恋しがり
そうやって人は先へと歩くのだと

木陰をも焼き尽くす昼の光に
貴方の水を汲む手は消えて
追うことも出来ない私の膝に
茂る梢が影を落として
それでも
花は咲いています

ほら、ごらん
誰かの声が耳朶に触れ
三半規管が一つ捻れて
世界が廻り季節が巡り
もう寝転んでも良いでしょうか
重みに耐え兼ねて



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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe