あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 断片/ 雨の指先 2002年09月15日(日)


雨が降ると眠くなるのは、ね
縫い閉じられるからよ
空と地面が
いってしまったものと
これからゆくものとが

語る人のまぶたは
どんな色だったろう
千の縫い針のひとつ
はしゃぐ私の頬に落ちて
流れた冷たさが
同じ重さでてのひらに戻る

見てきたもの
雨にうつむく稲穂のきんいろ
生まれたばかりの魚の透けるうろこ
あわ立つ川の暗いながれ
たどりつく海のかがやき
全てを捨てて駆け上る空のとうめいな

……記憶

まぶたを閉じて聴く、誘われるままに

糸はぐるりとまわって
たぐり寄せれば届くだろう
あの日の
あなたの指先に
今度は間違えずに繋いで

雨がふると眠くなるね

ねむろう、一緒に







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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe