あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 こっそりと贈る。 2002年12月13日(金)


僕はどちらかといえば、君が守ろうとしている立場の人間に近いので。
頑張って、とか。
いつかは通じるよ、とか。
安易な言葉を送ることができなくて。

自分の考えている世界のルールと、周囲の人のルールがどうして違うのか。
カキワリであるはずの、僕の物語の登場人物であるはずの周囲が、どうして
僕の予想通りの反応をしてくれないのか。
完全であるはずの僕がどうして不完全なのか。
いろいろな事が、ずっとずっと、謎だった。
今でも、時々わからなくなる。
どうして親が悩んでいたのかも、解かってはいなかった。
残っているのは、かけられた言葉の記憶だけ。

だけど。
記憶というものは、後になって意味を持つこともある。
与えられた当時、ただの単語だったものが、意味有る言葉として、蘇ることもある。
君が注ぐものは、決して蒸発して消えてしまう儚い露ではなくて。
きっと、吸収されて、潤しているのだろうと。
……そう思う。
そう、願っている。

多様性というものが、もっと認められる社会であってほしい。
「普通」なんてものは何処にも無い。
集団生活に適応して、「普通」と呼ばれる行動規範を身につけることが、優秀なのではない。
歩くことが遅い人間もいる。話すことが苦手な人間もいる。勉強は出来るけれど人付き合いは出来ない人間もいる。人と楽しく過ごすことが得意な人間もいる。
他人の存在を感知することの出来ない人間もいる。
几帳面な人。ルーズな人。
いろいろ、いて。
それでいいじゃないかって。

決して同じ人間はいないのだと、存在の多様性について寛容であることこそを、子供のうちに学ばせて欲しいと思うよね。
理解できない他者を排斥し、糾弾することを教えるのではなく。
(実際、僕が子供の頃は、学級会でつるし上げなんてよくあった事だ)
理解できないなりに、共存していく方法を教えて欲しい。
見えない側に努力を強いるのじゃなくて、見えている人が、歩み寄るべきじゃないのか。そういう素地を社会全体に作るべきじゃないのか。


君と、君の天使たちに幸有れと、いつでも遠くから願っています。
ごめんよ、不義理な人間で。
でもやっぱりあの場所で僕は部外者だと思うので、こっそりとこんな場所から。
君と、君の天使たちと、君の仲間たちに。
精一杯の祈りを。



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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe