あまおと、あまあし
あまおと、あまあし
 2003年11月06日(木)

その夜放たれた数多の声を
私たちは聞かなかった

遠すぎたからでもなく
近すぎたからでもなく
広がり続ける野火を前に
何かを護ろうとするならば
投げ出して、身の丈ほどしか得られぬことに
気づきたくはなかったのだ

夜よ、うつくしい夜よ
私たちが知るのは諦めと言う言葉だけで
立ち尽くし夜明けを待ち続けるのだ

朝は、白く
野火は、薄らいでいった

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 著者 : 和禾  Home : 雨渡宮  図案 : maybe