2002年06月18日(火) |
「リングワールド」 ラリイ・ニーブン著 1978年早川書房 |
ドーハの悲劇から長い長い戦いを経て16強入りしたニッポン。 本当にお疲れさま。
ということで読書感想文一発目は、大御所のラリイ・ニーブン著「リングワールド」 SF小説の面白さは、何と言ってもその「道具立て」にある。 スターウォーズやブレードランナーに代表されるような「時代背景の構築」がきっちりしていればいるほど、読者はその世界に入り込み、想像の翼という奴でその世界を飛び回ることが出来る。 もし、あまたあるSF小説の世界のうち「どの世界に住みたいか?」と聞かれたら、なんのためらいもなく「リングワールド」と答えてしまおう。 とある恒星の周りを周回する、建造者不明の巨大なリング。 地球の直径の何倍もの幅があるコの字型の内側に、人間が居住可能なエリアがあり、人間?とともに様々な生物が暮らしている。 単炭素繊維で結んだ超超超巨大なパネルがそのリングの内軌道回り、その真黒なパネルに恒星が隠されたエリアには夜が来る。 海もあれば山もある、実に地球ライクな世界で繰り広げられるラブストーリー&冒険活劇。
かつてはそのリングを作るだけの文明を築いていたはずの「人間」たちは、そのリングワールドの内側で、プリミティブな宗教を持った集団にまで退化?した未開の民族と化して、あちらこちらに点在している。 あまりに広大なその面積を持つ「リングワールド」では、ほとんど「隣の生き物」と接触することなく、様々な生き物が独自のエリアに適応し、様々な進化を遂げている。 ひょんなことでそのリングに辿り着いてしまった主人公達が、様々な苦難を乗り越えてその世界から脱出するその手法は・・・。
若返りの薬を飲んで寿命を延ばしつつ「このリングを一周する」という何世紀もかかるであろう旅を志した若者カップル。 ああ、実に羨ましい。(笑) 最近は全く旅なんてしていない私にしてみれば、終わりの見えない旅を胸一杯の希望を持ってすることが出来るこの若者たちに。とても共感してしまう。 SFの中でも、こうした「でっかい法螺話」を読んでいると、あと何年生きられるんだろう?残りの人生で何が出来るんだろう?等と、無駄な感慨にふけってしまうのが玉に瑕かも・・・。
今となってみれば多少古臭さも感じるけれども、その発想といい力技のストーリー展開といい、ありきたりのスペオペに飽きた人にはオススメ。
「リングワールドふたたび」「リングワールドの玉座」という続編あり。
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