台所のすみっちょ...風子

 

 

サイクリング。 - 2004年11月04日(木)

あれは一ヶ月半ぐらい前の日曜日。妹夫婦の住む町に物件を見に行った。

予約してモデルルームに行くと、迎えてくれたのは、

万年窓際な上に妻と子供に逃げられました、といったような

しわしわな背広を着た50代のおやじ営業マンだった。


そこはほぼ完成しているので、現地に行って実際の部屋の確認が

できるのが売り。

ギャラリー内のモデルルームを見学し、さあ行きましょう!と外へ出ると、

おやじが人数分のチャリンコの鍵を持って来た。

てっきり車だと思っていたので驚いたが、私達は促されるまま、

自転車にまたがった。


いざ!サイクリングの始まりである。

先頭はもちろんおやじ。おぼつかないハンドル操作のその後ろを

私と旦那がゆく。

漕ぐこと5分、もう道を渡れば物件!というその時だった。

彼が信じられない行動に出た。

車がビュンビュン通る道を、私達を振り返ることもなく、

「さあ!」と言うやいなや、いきなり自転車で渡ったのだ。

信号機も横断歩道もない、交通量のめっぽう多いそこを「さあ!」である。


私達に物件を見せ終わせるとオヤジは

今度は「駅を見てみましょう!」と言い出した。

そんなことしなくても、私は十分駅周辺を知っていたのだが、

断りきれずついて行くと、突然雨が降って来た。

おやじは止める素振りも見せず、ひたすら駅に向って漕ぐ。

まるで濡れるのがなんだ、、といったふうに。

雨の中を必死で駅に向かう私達3人の姿は、まるでトライアスロンの

選手のようであっただろう。


その後、駅を見て、ようやくギャラリーに戻れることになったのだが、

帰りがこれまた大変だった。

通る道は車が頻繁に行き来する狭い道路である。

両脇に歩道がついているのだが、人がまともにすれ違えないような幅。

おまけに、車道との段差が高い。

もし、すれ違い損ねて車道側にバランスを崩したら、車に引かれるか、

頭を強打するかで命がなさそうであった。

だから、ヨロヨロする私を見かねたのか前から来たおじいちゃんが端によけて

道を譲ってくれる始末だった。


命からがらモデルルームに着いた時、体は雨で湿りきり、

私も旦那も道中の緊張でクタクタ。


この時のことは我が家で

「禁じられたサイクリング」と今も語り継がれている。


おしまい。


...




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