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A君 - 2005年05月13日(金) 温泉に行ったとき、ついでに実家にも寄った。 寄るに当たって手土産を買うと旦那が言い張るので、 道中、ショッピングセンターで菓子を買うことにした。 中に入って大福を買い、歩いていると見覚えのある男性とすれ違った。 中学3年の時の同級生「A君」である。 子供を連れ、自分の実母と奥さんに先導されるような形で前から歩いてくる彼を 初めは「見たことあるなぁ〜」程度で、良く分からなかったのだが、 すれ違った瞬間、「あっ!Aだ!」と思い出した。 頭が良くて学級委員だったA君は、中学3年時のクラスメートの中でも、 特に印象に残るヤツであった。 なぜならそれは、彼が卒業式で大泣きに泣いたからだ。 実は彼、高校受験の2週間前にストレスから倒れてしまい、 受験はもちろん、卒業式の出席も危なかったのである。 「悲しがって家で泣いてばかりいるんです・・・」 お母さんが学校にそう報告したのを、床に伏してる彼の気持ちも考えず、 担任が私達クラスメートにアッサリ話したことにより、 「かわいそう」「体は大丈夫?」「以外と繊細・・」 「・・・ちょっとなよなよしてるかも」等など、 みんなの心にいろんな思いが交差したものだった。 結局彼はギリギリ受験に間に合い、無事合格し、卒業式にも充分出られたのだが、 式を終え、教室に戻った彼の胸にはやはり去来するものがあったのだろう。 先生の挨拶の後、ワ〜〜〜ンと突然、泣き出してしまったのだ。 「ダメかと思ったようぉ〜〜、ダメかと思ったようぉ〜〜」 A君は何度もそんなことを言いながら、ひたすらしゃくり上げる。 みんな何故彼が泣いているのか分かっていた。 無事合格できて、無事卒業することができて・・と、 A君の涙につられ、涙ぐむ私達の様子は、 傍から見れば、まさに、ドラマ「金八先生」そのものであっただろう。 さてちなみに、ショッピングセンターで私が彼を思い出せた決定的な 理由は何かというと、それは声であった。 すれ違いざま彼が実母と話すその声が聞こえたのだ。 詳細は分からないが、A君は口を尖がらせて何か文句めいたことを 言っていたようだ。 「だってさぁ〜、それは○△■×■○××じゃないかようぉ〜〜」 甘えるようなその声質。 なんと言っても、語尾の「ようぉ〜〜」のとこが、 どんなに髭面になっていても、 まったく変わっていなかったのである。 おしまい。 ...
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