台所のすみっちょ...風子

 

 

戦後60年。 - 2005年06月24日(金)

私の母は疎開経験者である。

終戦の年は小学校2年生であった。

玉音放送を聞いた大人たちから「戦争が終った」と知らされた母は、

「あ〜、これでやっと家に帰れる」と思ったそうである。


先日報道されたことだが、

某私立高校が2月に実施した一般入試の英語の長文問題に、

「元ひめゆり学徒による戦争体験の証言が退屈で飽きてしまった」と

いう主旨の文章が出題されたそうである。


少し前に本を読んだ。

題は「生贄の島」。軍に従軍奉仕した看護学徒の話だ。

生き残った人々への綿密な取材をもとに、

病院と称された洞窟の中がどんな状況だったのか、

人がどんなふうに犠牲になって死んでいったか・・そういうことが

淡々と語られている。


私は母のように戦時を知らない。

また、その残酷さを自身の体験のように、

身近に据え置くほどの想像力も持ち合わせてはいない。

けれど、淡々と並べられた活字からは絶望が伝わり、

読むことを躊躇してしまうほどに心が痛んだ。


今、日本は本当に平和である。

60年も前に起きた戦争のことなど知らなくても何の支障もない。

充分生きていける。

だが、もし、それを知る機会があったとき、

私達はそこから目を背けてはいけないような気がするのである。

少しでも、心に留めて置こうとする気持ちがあれば、

某私立高校の教師のように、

今も過去に苦しむ人々を、より傷つけるような愚かなことは

しないで済むと思う。


おしまい。



...




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