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先日、花ももの鉢植えを買って来た。 本当は庭にでも植え替えをしてやらなければいけないのだけど 花が終われば少し大きめな鉢に、植え替えてあげるつもりである。
雛祭りの当日はまだまだ蕾も堅くて、 花を開く気配もなかった。 一日、一日と蕾が大きくなり 今朝一輪の花が開いた。
幾重にも重なったビンクの花びらが 大きく大きく広がった。
ああこれは、陽子ちゃんだ。 花を見た瞬間にそう思う。 娘の為に買ってきた鉢植えだけど この花は絶対に陽子ちゃんだ。
今日は『陽子』と云う名の友人の誕生日 おめでとう。 おめでとう。
5ヶ月前に誕生日を迎える私を いつも年寄り扱いしていた彼女。 でも今日からは同じトシだよ。 お互いに良いトシになったねぇ。
彼女とは中学1年で同じクラスになった。 あれから23年のつき合いになる。
実は彼女が居てくれたからこそ、 私の子供たちが、この世に存在している。 そして彼女が居てくれたからこそ、 夫との再婚に踏み切れた。
連絡を取り合わなくなった時期もあったけれど 三十路を過ぎてからの方が、いろんな話しが出来るようになった。
悲しい事実だけど、愛息を亡くしてからの方が 彼女は心を開いてくれるようになった。 あれからの彼女は、俯きそうになる顔を 一生懸命上げて生きていた。 小さな躰から信じられないほどのパワーを 感じることもあったのに・・・
平成14年6月20日 享年35才でこの世を去った。 棺の中の彼女はとても綺麗で、小さくて まるで出逢った頃の彼女みたいで・・・
自分だけもうトシを取らないなんてずるいよ。 私達の記憶の中では、ずっと今のままなんてずるいよ。 毎年、ちゃんとお祝いしてあげるから 一緒にトシを取ろう・・・。 だって、いつか再会したときに 私だけがお婆ちゃんじゃ悲しいからさ。
そう再会。 私達は再会できる。 彼女に教えて貰った本に、そう書いてあった。 その来るべき日に向けて、私は一生懸命生きてなくちゃ。
辛くて苦しい毎日に 二人で精神学の本を読みあさった。
『私達って、なんか繋がってるよね』 いつも彼女がそう言ってくれていた。 うん。私もそう思うよ。
戯言だと思われても構わない。 私達はまた来世で出逢う。 彼女とも、夫とも、勿論子供たちとも。
次に生まれてくる時は 私が陽子ちゃんの為に生まれてくるよ。 私が陽子ちゃんを守るよ。 私が陽子ちゃんを倖せにするよ。
少なくともそう信じていられるだけで、 現世では勇気も湧いてくる。 そうだよね。 そうだよね。
陽子ちゃんに向けてシャッターを切った。 綺麗に咲いてくれてありがとう。
お誕生日おめでとう。
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