デイドリーム ビリーバー
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「お前はほんとにいい女だな」と言われた。
最高のほめ言葉のはずなのに、なぜか嬉しくなかった。 かかわりの薄い人に対する言葉のように思えた。
「お前はいい女だけど、俺と一緒に生きていく女じゃないよな」 「一人で生きていけるよな」 そう言われたような気がした。
少しマニアな、共通の趣味があることがわかって 「誰もわかってくれないんだよなー」なんて言いながら 二人で待ち合わせして、それを見に行ってから 何度かお誘いがあって、晩ご飯食べに行ったりしている。 毎回楽しくてたまらない。
でも時々自分を見失う。
好かれたくて、調子に乗って言った言葉や強がりは 彼のストライクゾーンには入らないらしく 全然跳ね返ってこない。 わかっているのに、自分を保てなくて 上ずった気持ちで、また同じ失敗を繰り返したり。
「好かれたい、好かれたい、ばかり思うから駄目なんだ。 作り物の自分、好かれたってしかたないだろ、しっかりしろ!」 そう、自分にカツをいれて、ようやく少し冷静になれて 普通に自然に接していたら、 今度は、すごくいい笑顔や笑い声が返ってきて めまいしそう。
今日はメールが来ない日だとわかっているのに 夜中に何度も「送受信」押してはがっかりしたり、 そうして寝不足のまま、 仕事にいかなくちゃって朝起きて もう一度だけ送受信押したら、受信一通。
「今日はメールなしの予定やったけど、好きそうな写真見つけたので 送ります。これ見るのは、仕事から帰ってきてからやろーな。 この写真は、仕事頑張ったご褒美。」
ご褒美、先にもらっておいて 仕事、行きたくないなんて、社会人失格です。
これが恋ってものなのか?
なんだか、心が、毎日毎日一瞬一瞬 エベレストとマリアナ海溝を 赤道直下と極寒の地を、行ったり来たりしているような、 冷水と熱湯を交互に浴びているような気持ちなんだけど、 これが恋ってものなのですか?
みんな当たり前のように、 小学生ぐらいから恋ってしていたけど、 よくこんなのに耐えられていたなぁ。 じたばたしているのを見て、バカじゃないのかと思っていたけど 敬服します。
だって、ほんとに、病気なんじゃないかと思うぐらい 心臓が痛いじゃないですか。 24時間、心が休まらないじゃないですか。
でも、実を言うと 私は小さい頃から、誰かや何かに執着するということがあまりなくて 心が、どこか壊れているんじゃないかと ずっとずっと思ってきたから、 こういう気持ちを、当たり前のように感じられて ただただ嬉しい。
世の中に、 そして私の人生に 「恋愛」なんてものが、本当に存在するのか、かなり疑心暗鬼だった、 でも、どこかで信じていた、信じていたかった、 貴重な気持ちだから、大切にしたい。 とにかく今は、素直に喜んでおこう。 その貴重なものの正体は、「痛み」に近いのだけれど。 鳴かぬなら …殺してしまうのは論外だとしても。 「鳴かせた声」など聞きたくない。 「鳴くまで待つ」のも、なんか、じめっとしていて、いや。
私が気に入ったら、ホトトギスだって鳴くだろうよ。 最低限それぐらいじゃないと、お話にならないでしょ。
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