デイドリーム ビリーバー
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聞くべきじゃなかった? 聞かない方が良かった?
いえ、聞いてよかったです。
何も見えない暗闇で、、怖い怖いって言いながら歩くのは、嫌だった。 どうせなら、魑魅魍魎襲い来る荒野で 目をそらさずに戦って生きていきたいから。
守られるお姫様じゃなくて 冒険者になろうと、ずっと思って生きてきた私だから。
なーんて、大げさ。 聞いたことって、たかがN君の彼女のこと。
二人がうまくいっているのか、いってないのかによって 私と二人で会っている意味も、違ってくるかもなんて思って。
私の恋心は悟られず、でも最低限の好意は伝わるように 細心の注意をはらいましたが。
だって、今「好きー!!」なんて言っても 私の、今の気持ちがすっきりするだけで 二人の関係が進展するわけでもなし。
というか、進展させたいわけでもないのよね。 私は彼が好きだけど。それと彼の気持ちは関係なくて。 そりゃ、彼が私を好きになってくれたら、バンバンザイだけど そう簡単にうまくいくもんでもないってことぐらい、私にだってわかるし。
私が欲しいのは、彼氏とかじゃなくて 「本物の関係」だから。 それが恋愛になるのか、友情になるのか、何にもならなくて消えていくのか 今はまだ、わからないというだけのこと。
彼の話を総合すると 基本的にはうまくいっているらしい。
まあ、いろいろあるみたいだけど。 そりゃあ、あるさ。それだけ長く付き合っていると。 N君は、結婚のこと悩んでいるようでした。
私はそんなに長く、一人の人と、ちゃんと付き合ったこと なんてないから、アドバイスも何もできません。 聞き出しておいて、悪いけど、ふーんふーん、って聞いているだけ。
の、つもりだったけれど。 会話の終わりに、彼が言った。 「お前って、結構辛口やな。いい刺激になったわ」
私、なにか言いましたっけ…? 今日はできるだけ静かに、聞き役に徹したつもりなのに。
「うん、なんか、元気出てきた。頑張るわ、俺」
…励ましてどうするよ、私。
なんだか、この恋心の終わりが見えてきた様子。
「俺、結婚する」 そういわれたら 「ちぇ」 とだけ言おうと思います。
「なんやねん、それ」 って、笑いながら言う彼に、何度も何度も 「ちぇーっ」 って。
ちょっといいと思いませんか?
…思わないっつーの。
…ちぇ。
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