デイドリーム ビリーバー
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2002年01月04日(金) 新しい一歩

年末の話だけど
同居人(女)のサヤに、素敵なプレゼントをもらった。

カウントダウンの話になって
「彼と、どこに行こうかと話してるんだけど…」
って言ったら
「うちでくつろげばいいじゃん。私いないし」って。


私とサヤには、同居するにあたっての約束事が結構ある。

その中の最重要事項に
「この家においては、二人の(つまり私とサヤとの)ことを一番に考える」
ってのがあって

端的に言うと
「他人はつれこまない」ってことだったりもするんだけど。
特に「男」。

お互い家では、くつろぎたいわけで。
平穏な毎日ばかりではないから
辛い思いで帰ってくる日もある。
他人と暮らすってだけでも、どこかで気をつかうものなのに
更に他人に来られたら、たまらない日もあるだろうってことで

一緒に暮らす相手のことを大事にできないなら
一人暮らしにもどればいいだけの話だからって
同居を決めた日に、二人で話し合った。

「一度は来てほしいんじゃないの?」
「だって、サヤだってそういうことしてないのに…」
「私は、一回家に入れたことあるし」

でもあれは、サヤ達が付き合い始めるずっと前に
何人かでホームパーティーもどきをしたときの話で
私だってその場にいた。二人きりじゃなかった。

「お互い、生活って見せあいたいものじゃない?」

たしかに、この間、彼の部屋をはじめて見た時、
生活している部屋を見せてくれるのって
心を開いてくれるみたいだなあって、嬉しかった。

「次は宙ちゃんの家行きたいな」って言われて
「それはちょっと難しいかも」
って、この間話したところで。

「何も、何度も来ていいって言ってるわけじゃないのよ。
 とりあえず、一回は異例ってことで。
 まあ、ちょっと遅いけどクリスマスプレゼント?」

あーもうサヤってばほんとにイイ女だよー
私が男だったら即効プロポーズだよー

って抱きついたら、キモイからやめろって言われた。
ああ、なんてカッコいいんだ、クールビューティー・サヤ。


しかも一言付け加えられた。

「どうせ数時間のことなんでしょ」
「うう…」
「だって宙、正月に家にいたためしないもんね」

私も彼も、仕事柄、盆暮れ正月に働く人です。
大晦日の夜ゆっくりすごして
正月の朝をふたりで迎えるなんて、どだい無理な話。


でも今年は私、大晦日は休みだもん!…元旦からは仕事だけど。
ちなみに彼は元旦が休み。大晦日は仕事。

でも、いいんだ。少しの間でも一緒に過ごせるなら。

ほんとは、過ごせなくたって、きっといいんだ。
大事なことは、きっともっと別のところにあって。


二十一世紀の幕開けを、彼は別の人と祝い、
私はもう決して
世紀の幕開けを一緒に過ごすことは出来ないけど

二十一世紀最初の年越しなら、一緒に過ごすことが出来る。

そしてもしかしたら、これから何十年も続く未来を
共有できるかもしれない。


私は
彼が愛した最初の人ではないけれど

彼女を、ほんとうに好きだったと
そう言う彼の言葉が本当なら

そして私を好きだという、
彼の気持ちが本当なら

彼女と同じように愛されるのもいいのかもと
最近思い始めている。

自虐的な気持ちじゃなくて。

彼女がほんとうに愛されていたのなら
なにも、
「違うように」にこだわらなくてもいいのかもって。


だってこの世の中には、六十億もの人間がいて。
その二人目になれるのなら、それだけでもう、結構すごいこと。

最近まで私は
私にとっての「たったひとりの人」は
実はもうこの世にはいないのかも、とまで考えていた。


今は、あたたかい腕がすぐそこにあって
その腕にふれることができる。
言葉を交わして
笑いあって
キスをして
抱きしめあって


もちろん、こんな心の整理ぐらいで
複雑な気持ちは消えやしないけど

嫉妬を
かわいいヤキモチぐらいに変えたいなと。


私は、何だかんだいって
やっぱり彼女のこと考えるのが怖くて

一人で考え出すと、どうしようもなくなってしまうので
こうやって日記に向かっている。

書きながらだと
少しは建設的に物事を考えられたりもするので

何度かやめようかと思ったこの日記も
今ではいわば私のセラピーにちかい存在になっていたり。


それでもやっぱり
こわいものはこわくて

彼に、完全に心を開けないでいた。
開いて自分が傷つくのが怖かった。


年越しを、私の部屋で二人きりで祝って
彼は
「心が安らぐってこういうことをいうんかなぁ」って言って。

私は
テレビを見ている彼の肩に、はじめて頭をもたれさせてみた。

年越しのその瞬間には
どちらからともなくキスをして
指輪を交換して

私は、それから
「くっつき虫〜!」とかなんとか言って
ずっと彼にくっつきっぱなしでした。


はたからみたら、単なるバカップルだけど
私にとっては、この日が新しい一歩です。
きっと。


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