みかんの日記
みかん



 親心に抗う

どうしても好きになれないその先生は
私をお嫁さんにほしいと親に話したらしい。
私が大学を卒業するまで待つ、とも。

有能な男性だから両親からみれば
願ってもない話だったのだろう。
年の差は13。

しかし当時、まだ夢見る中学2年の私にはそんな話は全く解らない次元の事。
降ってわいた災難だった。
月刊りぼんの陸奥A子さんの漫画に出てくる
メガネをかけたアイビールックの背の高い男の子に憧れ、
マークさんの長いサラサラの髪と甘い声に胸ときめかせていた当時の自分。


例え親の意向とはいえ、
いい子でいたいとはいえ、
ビジュアル的にも受付けられない…。
話す共通の話題もあるわけがない。

これだけは言うことを聞きたくなかった。


敢えて親から何も言われなかったけれど
その目論見は明らかだった。



家族旅行に一緒に来た先生とも
殆ど口を聞かず、心を開かなかった。

私が大人の態度でその時を楽しく過ごしていれば
今はまた違う人生を歩んでいたかもしれない。

でもあの独特の…取り繕った雰囲気の中で
とてもいつもの自分にはなれなかった。

嫌なものは嫌だった。

帰ってから親からは怒られた。
怒られても嫌なものは嫌。


その後程なく先生は結婚された。
立派な家柄の奥様を迎えられた。


その後も活躍され、
NTTのS藤会長の弁護も勤められた。
拘置所から釈放された際にテレビで映っていた。

ご結婚後も父とは交流があり、
たまに家に立ち寄られた。


最後に会ったのは
長女を産んで里帰りしていた時。
娘の顔を見て帰っていった。

年賀状は毎年戴いている。


2010年07月05日(月)
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