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2003年07月20日(日) |
最高/MANDO DIAO"bring 'em in" |
夢の中で聞こえた声、それを言葉にしたのがMANDO DIAOなのだそうだ。何か懐かしくて不思議な響きを持つ、特定の言語を超えたマンドゥ・ディアオというこのバンド名。そしてこのバンド、肝心の音楽も、何かその名をなぞったような巨大な魅力を携えている。夢の中で聴いた、理想のロックンロールを鳴らすバンド。心を奪われることをその欲求不満の若い体の中で今か今かと待っている、ロックンロールに自分の青春を捧げる予備軍である少年少女達へ。君達の時代のロックンロール・バンドがやってきた。
デビュー・アルバム”ブリング・エム・イン”は、最高。その一言でいいよな。前置きが長すぎたかもしれない。
全世界がネットワークで結ばれ、モノや情報がうざったいほどに氾濫するこの2003年の今。音楽も例外じゃなく、様々なジャンル、アーティストがごちゃまぜに輸入され、もてはやされ、歴史や国という線引きすらとっぱらわれて、なんだか何が本物か分かりづらくなってきた。でも、頭を抱えなくたっていい。救世主は、いつの時代も本当に分かりやすい形でやってきてくれるんだから。
とにかく曲が書ける、このバンド。スウェーデンのバンドではあるが、60年代の英国バンドそのものだ。ビートルズ、ザ・フー、スモール・フェイセズ……。つまり、もっともロックンロールが幸せでまだ始まったばっかで贋作がないんだから本物でしかありえなかった蒼い時代!! その熱狂と感動を強引にそのアレンジ力、ルックス、メロディーの素晴らしさで今に甦らせた。ストロークスもまた違った時代でロックンロールを再生したバンドなんだが、誤解を恐れずに言えば、彼らは「知性」。マンドゥ・ディアオは「天性」だけで鳴らしている。彼らの、時にいけてない行動を見聞きするとそう思う。曲もやりすぎ! それで、そこが良い。
そして、もう一つのポイント。それは、オアシスっつう、今更言うのもなんだけど超超最強のバンドの見せてくれる希望と同じものがこのマンドゥ・ディアオからも見えるってことかな。音の壁のような重さのあるギターが鳴ってたりしないし、こいつらの方が性急でエッジが効いている。だから直接には違うんだけれど、ある何点かの共通点がオアシスへ感じるワクワクさと同じものを強烈に与えてくれる。それはビッグマウス、二人の超個性的な天才、歴史を走馬灯の様に鳴らすアイディア、声の住み分け具合のばっちりさ、ダサさ、カッコよさ、ビートルズ、曲調を問わず不思議にも同じ光を目指しているメロディーなんかなんだろうな。アレンジが違うだけで他はほとんど一緒じゃないか、こんなこと言ってしまったら。でも、そうなんだよなあ。
試聴機にでもあったら、まずは5曲目の「ザ・バンド」をとにかく聴いてみてほしい。大音量で、ヘッドホンでも付けて。そこからが、僕らが追い求めてやまない感動へのコンタクトになる。確実に。アルバムの曲には触れない。説明はいらないし、事前にはないほうがいい。
最高。世界に鳴り響くべき、正真正銘、本物のロックンロール。青春の衝動に突き動かされて、とにかくは自分の理想をまっしぐらに目指す。簡単に言えば、汚れなき希望への憧憬と努力。ロックンロールが、ユース・カルチャーとして強力に機能する、若者だけに許されたリアルな共有感情であることを完璧に証明し、そういったロックンロールの現代のサウンドトラックとして永遠に歴史に刻まれるだろう熱狂の瞬間。それが、まさしく2003年のマンドゥ・ディアオだ。最高。
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