2003年10月01日(水)
長崎市で起きた男児誘拐事件で長崎家裁が中学1年に「決定」を言い渡した。 少年が児童自立支援施設に送致されるのは予想通りだった。
その処遇理由の中で少年と両親との関係について語られている。 特に母親との関係は過剰ともいえるほどの緊密な関係にあったようだ。 こう書くと今までならさぞかし甘やかして育てだろうと想像するところである が、この母親はスパルタというか厳しいしつけをしていた。
少年は幼少期、筋肉の発達の遅れでお尻を床に付けないと階段を降りれず、 小学校に入っても簡単な図形すらかけなかった。 これは脳の障害によるものだったものだと見られている。 言語の発達に遅れがなかったから幼児期の健診でも見逃されてきた。 母親は、少年の運動能力が劣る事や不器用である事を気にして幼児期からその 改善のために特訓をしたり、小学校入学後は他の児童に馬鹿にされないように 付ききりで勉強を教え、寄り道をすると厳しく叱責していた。
幼児期の健診で障害が見逃されてきた、といっても毎日一緒に生活している 母親には「我が子が他の子供とは違う」と気がついていたのだろう。 気がついていたからこそ、其の事を気にして必要以上に厳しく接したのだろう。 幼児期の発達というのは、個人差がある。 障害がないにも係らず、発達が遅れているからといって、障害と決め付けられ、 健診でボロクソに言われ、傷ついた母親も少なくない。
又、障害がある子を叱咤激励しても、その子が立派に育った時、子供は「母親 が甘やかさずに厳しく育ててくれたおかげだ」というのを聞く事もある。 障害が有る無しに係らず、親は我が子ができない事を出来るようにさせようと するのは常であろう。 例えば、自転車の補助無しにした時の練習、逆上がりが出来なければその特訓、 我が家の長男も小学校の低学年の頃、「自分の思っている事を書いているつも りでも書いた文章は助詞が抜けている」と担任の先生に指摘され、先生の指導 のもと毎日日記を書かせていた。
只、この母親の思い(愛情)が、少年に伝わらずに、母親からの叱責を極端に 恐れるだけになってしまった。 何処かで親子関係に狂いが生じてしまったのだろう。 人間は十人十色である。 同じ人間など有り得ない。 同じように子育てもその子にあった育て方があるように思う。 マニュアルなど役に立たない。 親は手探り状態で、身体ごと子供とぶつかり合いながら、失敗の許されない 子育てをしなくてはいけないのである。 それだけ、子育ては大事業なのだ。
この少年が立ち直るまでにどのぐらいの年月を有するかわからない。 しかし、少年が児童自立支援施設で保護処分を受けている間、親の方も変わら なくてはならない。 新聞記事によると、夫婦の諍いが絶えなかったという。 同じように夫婦が諍いが続いていたら、少年が心からくつろげる家庭でなかっ たら、少年は戻ってこれない。
この夫婦、大丈夫かなぁ〜って言うのが本音。 子供が何かしでかした時、よく相手のせいにする夫婦がいるでしょう。 「お前の育て方が悪い」とか「私ばかりに押し付けていたくせに」ってなじりあう夫婦。 何が原因だか知らないけど、今までだって諍いが絶えなかったという夫婦が何処までやり直せるか? 「夫婦の絆は強い」とも言うけど「夫婦は所詮他人」とも言うし・・・
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