久しぶりに目を見て。好きって言った。 まつ毛が長くて。切れ長で涼しくて。 いつもあたしを見守ってくれるその目を。 吸い込まれそうな思いで見つめながら。好きって言った。
好きな人に好きって言える幸せに潰されそうになった。 たったそれだけのことやのに。そして今さらなことやのに。 こんなにも締め付けられる自分が怖くもなった。
ちょっと飲みすぎたんかもしれん。 ちょっと酔ってたんかもしれん。 いつもの流れの途中のことやった。 あたしの服に手をかけて。1枚ずつ剥いでいくあんたに。 ちょっと意地悪したくなって。その顎をくいっと上げて。あたしの目を見させた。
「ん?」って言ったその顔が。かわいくてたまらんかった。 いいところを邪魔されたって感じの。ちょっと不満な「なんやねん。」って顔。 純粋に止められた理由が分からんくて。不思議そうな「どしたん?」って顔。 なんとも言えんその表情。ただそれだけのものにあたしはやられた。 胸の奥がじんじんして。口づけたい衝動にかられたけど。 伝えたい気持ちがそれを越えたから。あたしは言ってみた。
なぁ。分かってると思うけどさ。あたしあんたのことめっちゃ好きやで。
言い終わらないうちから。鼻の奥がツンとして。 ぶわーっと涙が溢れてきたから。自分でもびっくりした。 頬を伝って。首を伝って。胸まで流れたその雫を。 あんたは少し笑って。小さく舌を出して嘗めとった。
なんやねん。それぐらいめっちゃ分かってるっちゅーねん。
そう言ってあんたは。あたしの頬をむにっとつかんで笑った。 笑ったかと思ったら。急に真面目な顔をして口づけてきた。 ようやく望んだものが与えられて。あたしはさらに苦しくなった。
たったひと言の「好き」が。抑えてた気持ちの鍵を外した。 嘘偽りのない自分の声を自分で聞いて。 あたしの心の奥は。あたしに語りかける。
そうか。あたしはこの人のことが好きなんやね。 この人がいいんやね。この人じゃなきゃあかんのやね。
そんなもう何百回思ったか分からんことを。また新しい事実のように知って。 もう何百回流したか分からん涙を。また新しい幸福のように零して。
ねぇそうる。あたしはまたあんたに溺れた。 暗い夢の世界で。甘い快楽の波間を漂いながら。 知り尽くしたはずのあんたという海で。溺れて泡になった。
愛し愛されて。泡になって。あんたに溶けていった。
↑むしろそーゆうのが。たくさん欲しいなぁと思うのです(照)。 |