2002年11月24日(日) |
SSS#36「瀬戸口→水色速水 ギャグ4」 |
テスト受けてきました。 ……。 ふぃー。 まあ、過ぎた事は過ぎた事です。うん。
【瀬戸口隆之受難の日 4】
「じゃあ、僕たちは教会を見に行くので、今日は早退させてください。委員長」
花も恥らう美少年に満面の笑みでうきうきとそう言われ、善行は引き攣った微笑みを返した。 正しくは、諦観の笑みである。 教会でも新婚旅行でも、何処へでも好きなだけ行って下さい…と言いかける善行の美声をサイレンが遮った。
101V3、101V3
耳に馴染んだ、けれど今でも背筋を震わせるサイレンと、多目的結晶に送られてくる戦区情報。 出撃である。 反射神経的に直ちに身を翻そうとした善行は、その場にのめってすっ転んだ。 顔面から地面に突っ込み、眼鏡の砕けるパリンパリンという音が景気良く響く。 善行を転ばせた張本人はまだ上官の上着の裾を掴んだままで、潤んだ瞳を向けてきた。
「そんなあ…酷いです、司令。 僕、今日は勝吏さんと出かけるの、楽しみにしてたのに…」
うるうると目を潤ませて、眩暈がするほど可愛らしい顔で言われたってダメな物はダメだ。 いくら可愛いと言ったって、速水の美貌でスキュラが撃墜出来るわけではない。 が、不可能を可能にするからこそ、速水厚志は芝村厚志なのである。 肉の厚い手のひらが、ぽんと少年の細い肩を叩く。
「案ずるな、厚志。今日は5121小隊の出撃は無い」 「ほんとですか!?」
速水は一瞬顔を輝かせたものの、すぐにしゅんとしてしまう。
「でも、幻獣が実体化するのは止められないですものね。 僕達が戦わなくちゃ…」 「ふっ、厚志は優しいな…。だが心配は無用だぞ。 こんな時のためにこそ、奴が居るのだ!」 「奴…って?」 「ふははははは!良くぞ聞いた。 その名は、天知る地知る、芝村知る!正義の味方なバックダンサー(?) ゴージャス☆タンゴとは奴の事だ!!!」
なぜか準竜師の呼び方は「つのだ☆ひろ」と同じ発音である。あの星印は何なのだろうか。 ジャジャーン!というオーケストラの効果音と共に、スポットライトがひとりの男を照らし出す。
「え?え?何???」
何故か恵方に向かって太巻きを食べている最中だった瀬戸口は、突然のスポットライトにびっくりした様子だ。
「絢爛舞踏。厄払いしていないで支度をなさって。どうせ無駄なんですから」
いつの間に居たのか。 準竜師の美貌の副官が、涼しい声で厳しい現実を直視させようとする。
「…え?まさか俺ひとりで出撃…?」 「お。美味そうだな、これ」
色鮮やかな具材たっぷりの美味しそうな太巻きを持ったまま、瀬戸口は呆然とした。 呆然としている間に、太巻きは若宮の胃袋へと消えていく。 更に冷静な声の更紗が追い討ちをかけた。
「ちなみに士魂号西洋型、絢爛舞踏服、共に現在オーバーホール中につき、 本日は生で出撃して頂きます」 「…生っ!!?」
生って何さ…。 全員の心に謎を残しつつ、瀬戸口はハンガーの方へと連行されていった。
つづく ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― なんだかもう、コメントのしようが無いです。
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