2003年01月15日(水) |
SSS#39「瀬戸口×速水。ほんわり」 |
先週のでぇとのこととか、12日のイベントのこととか。書きたいこと一杯あるのに、何から書いてよいやら…。 トータル十数時間に及ぶセトハヤトークのハイライトシーンを纏める事が難しい。殆ど全部ハイライトだし(笑) 瀬戸口はふりふりエプロンが似合うねとか精神的には受けだねとか瀬戸口は糠床を愛して止まないとかいや寧ろ糠床の愛称をシオネというのだとかおばあちゃんの知恵袋に詳しそうだとか速水が熱を出したら葱をお尻に挿すのが良いんだとか言って速水にせまって家から叩き出されてそうだとか彼の愛はいつも空回りだとかそんな所が可愛いとか…。 なんか全部瀬戸口?しかも情けない瀬戸口? 瀬戸口スキー同士の会話って一体…。
とりあえず、更新が滞っていることもふまえ、軽くSSSなど書いてみたり。 いつもにも増して瀬戸口が変です。
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好きと言うと、君が酷く嬉しそうな顔をするから…。 その顔を見る度に泣きたいような気持ちになる。
【Love Love Love】
並んでソファに腰掛けて、瀬戸口は雑誌を捲り、僕はカップから立ち上る湯気をぼうっと見ていた。 ふかふかしたクッションに顎を埋め、僕は彼に意識を集中する。 瀬戸口は緊張している。 ゆったりと足を組んでリラックスしているようなポーズだけれど、さっきからページが一枚も進んでいない。 時々そわそわと僕を見ている。 初めて僕の家に来た瀬戸口は、酷く、落ち着かなかった。
「瀬戸口さん」
普通の声で呼びかけたのに、うっかり雑誌を取り落としそうになる男。 本人は色男風のつもりの、気の毒なほど引き攣った笑顔。 ここまで彼が緊張するのは、多分…。
「もうちょっと、近くに座ってもいい?」 「も、もちろん」
盛大に首を縦に振る。 普段の軽口は無い。 お言葉に甘えて、体温が触れるかどうかのぎりぎりの距離に座り直すと、瀬戸口はもっともっと、そわそわし始めた。
***
恋人になってから、一週間経つ。 最初はからかわれているんだとしても構わないと思ってOKしたのに…。 一週間が経って、僕は心から、自分の間違いを知った。 瀬戸口は、どうやら僕がとても好きらしい。 からかっているのでも、遊んでいるのでもなくて、本当に僕が好きらしい。
告白された日の帰り道で、手を繋いでもいいかと、豪く生真面目な顔で問い掛けてきたのに頷いたら、まるで壊れ物に触れるようにそっと、包み込むように手を握られた。 帰り道の間中、幸せそうだった瀬戸口の横顔。
翌日お弁当を渡した時には、瀬戸口はその手作り弁当を延々取って置く気なのではないかと不安になった。 それほどまでに、嬉しそうだったのだ。 得難い宝物のように、お弁当の包みを大事そうにしていた。
そうして迎えた、初めての休日。 瀬戸口が、すべての娯楽施設のチケットを用意しているのを知って、僕は彼を家に招待した。
「速水はどこに行きたい?」 「どこかに出かけるのも良いけど…。うちに遊びに来ない?」
…あの時の瀬戸口の顔は…忘れ難い。 一瞬ぽかんとした後、何を想像したのか盛大に紅くなり、色男の面目躍如で素早く表情を引き締めた。 そして、通常の5割増しほど男前な声で同意を示し、7割増量ほど洗練された仕草で僕を促がしたものだった。
瀬戸口がとても好きだった。 けれど、彼に恋をされているとは思わなかった。 だからそれが判った時には驚いて…。
どうして僕は。上手く気持ちを伝えられないんだろう。
***
好きと口にするたびに。 瀬戸口が少し照れたような幸せそうな顔をするたびに、可哀想で堪らなくなる。 その様子は、まるで一度も愛された事のない子供のように思えて…。 思い切り優しくして、甘やかしてあげたくなる。 どうか僕の隣こそが、彼の安心出来る場所になればいい。
こんなに凄く凄く君を好きなこと、伝えたいだけなのに。
「瀬戸口さん」 「ん?」
手を取る。 大きな手。指の長さも、爪の形まで綺麗な。 両手で包むように持つ。僕の手は小さくて、両手を使ってやっと瀬戸口の片手を包める。
「好き」
瀬戸口の顔が瞬時に明るくなる。 綺麗な淡紫の瞳に、光が満ちる。 僕は哀しい。足りないから。 好きなんて言葉では伝えきれないほど、君が好きだという事。 どうすれば君に、伝わるだろう。 手を伸ばす。首にぎゅっとしがみ付く。 瀬戸口は戸惑った顔をする。
「速水…どうして泣くんだ」 「…」
大きな暖かい手が、零れ落ちる雫を掬い取った。 困った顔をする瀬戸口に、うまく説明出来ない。
「…泣かないでくれ…頼むから…」
普段の愛の伝道師ぶりをどこかに忘れ、瀬戸口はまるで不器用に僕をあやす。 困らせたいわけではなかった。 気持ちを伝えたいだけなのに、どうして涙が零れるんだろう。
「速水…」
一生懸命僕の頭や背中を撫でていた瀬戸口が、ふいに頬に口付けた。 額や瞼にも。 柔らかな温もりが、いくつもいくつも落ちてくる。 暖かい、優しい気持ち。胸が苦しいほどの。 瀬戸口が、僕を大事にしてくれているという事が、温もりから伝わってくる。
…ああ、そうか。
僕は瀬戸口の顔をちゃんと見て、小さく名前を呼ぶ。
「瀬戸口さん」
そして、そっと彼の唇にじぶんのそれを触れ合わせた。 気持ちが、伝わればいい。 貴方が寂しくないように。
「あいしてる」
Fin ――――――――――――――――――――――――――― 瀬戸口がおかしい…。やはり抱き締め隊の後遺症?
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