2003年02月02日(日) |
SSS#43「愛の劇場 10000hitリクエスト」 |
リクエストにより、18歳未満の方はご遠慮下さい。 そういう内容ですので。 読んで下さる方は、以下を反転してください。
【落日桜花】
降り注ぐ、白い花びら。
降り頻る雪のように、舞い降りてくるそれを見上げていると、まるで自分が空へと吸い込まれていくような錯覚を覚える。 彼の肩越しに見える桜。 桜の枝を透かして見える、眩暈がするほどに晴れた空。
「あっちゃん?」
顔の前で、手を振られた。
「考え事は後にして、こっちに集中してくれないか?」 「ん、うん…ごめ…っぅあ!!!」
瀬戸口が思い切り大きく動かしたので、返事の最後は悲鳴になった。 こちらの片足を肩に掛けた瀬戸口には、速水からは手が届かなかったので、掴まるものが何も無い。 伸ばした手が、冷たく湿ったものを掴んだ。 力を込めて握り締めると、くしゃりと潰れる。 厚く降り積もった、桜の花びらを。
瀬戸口がその手を開かせようとして、手を伸ばす。 意図せず腰を深く押し付けられて、華奢な体が鮮魚のように激しく仰け反った。 引き攣るように逸らされた白い咽喉から、細い吐息が吐き出される。
「悪い悪い。ただ、そんなにシーツに懐かないで? 妬けるから」 「シー…ツ…って?」
この広い公園のどこにも、そんなものは見当らない。
「だから、これ」
瀬戸口は、自分の側で踏みにじられていない花びらを一掬い、掬い上げる。
「薄ピンクのシーツだろ?」
新婚仕様だ。と浮かれている瀬戸口を嘲笑するほどの余裕は、速水には無かった。 通称松葉崩しというこの体勢は、女性とは違う身体の速水には辛かった。 不自然に捻られた腰が軋む。 息が苦しいのは体勢が苦しいためか、快楽の為なのか、もう訳が判らない。 普段とは違う所を、違う角度から擦りあげられて、息も絶え絶えになる。 先程、もっと緩やかに絶え間なかった心地良さの中で見とれた桜の枝が、遠く小さく見えた。 花びらが風に吹かれる、ざぁ…という音が、濡れた音と交じり合う。
―――この桜を、明日には僕達が散らしてしまうのだ。
熊本城戦を前に、桜を見たいと言ったのは速水。 この場で、今すぐ速水を抱きたいと言ったのは瀬戸口。
明日にはこの美しい景色も焼け野原になる。 花見をする人など誰もいないから、この景色は永遠にふたりだけのものになる。
こんなに綺麗なのに、速水に覆い被さる瀬戸口には散った桜しか見えない。 そして瀬戸口が見ているのは、桜の花びらですらなく、速水だけだった。 薄く涙を浮かべる青い大きな瞳や、揺すられる度にゆらゆらと揺れる柔らかな黒髪や、快楽に染まった細い襟足や、上気した耳朶や、柔らかそうな白い頬や、甘く色づいた薄紅の唇を、見ている。
自分を見てくれるのは嬉しいけれど、桜ももう少し見て欲しかったと速水は思った。 足を担ぐ肩を入れ替えられ、更に苦しくなる。 それと同時に、頭がおかしくなりそうな感覚が下肢から背筋を這い上がり、思考を奪う。 何も考えられなくなりながら、速水は鳴いた。
桜の時期には、まだ早い。 それでも貴方と一緒に、綺麗な景色を見たかった。
速水が同調技能で無理矢理桜を満開にしたことを、彼は知るだろうか。
涙に曇る視界のなかで、緋色に近い明るい茶色の髪を、深い紫の瞳を見上げる。
貴方に出会うまで世界に色はありませんでした。 血の赤と、白衣と壁の白しか僕は知らなかった。 この薄紅の桜も、貴方と出逢ったからこそ、綺麗と思えるもの。
桜が舞い落ちる。 告げられないすべての罪を隠すように、密やかに。
end
―――――――――――――――――――――――――――――― 10000hitありがとうございました! リクエスト内容は「松葉崩し」で「松葉なだけに、自然のあるところで青○」 何でも書きますよvとは言ったものの、こんなに何でも良さ絶頂なリクを頂くとは思いもよらじ(笑) 表の日記に載せるので、エロは控えめにしました。
とりあえず、こんなのでもよろしければお納め下さい。 リクエスター宇多津にか様。ありがとうございました!! またオフでも飲みに付き合ってくださいね(私信)
このお話がお気に召しました方は
そんなわけで、週末遊んだりガッコ行ったりで、全くネット活動不可能だった神矢。明日は節分ですが、ストーリーは私の心の中です(笑) 2、3日遅れてのアップになると思われ。 木曜日の「ドキッ☆美女だらけの鍋大会」レポ。および、土曜日の「美女と美少女に囲まれて鹿肉刺身焼きツアー」のご紹介は、放送時間の関係上(?)後日のご報告となります。 ふふふ…楽しかったですよーvvv
相変わらずメールのお返事が遅れておりますが、どうかお待ち頂けると嬉しいです; 本当に私は宣告どおり、明日に同盟を立ち上げられるのでしょうか。不安…。
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