2002年09月10日(火) |
プラクティカル・キャット |
朝の最低気温が20℃にまで下がりました。夜は肌寒いぐらいでしょうね。 昼間はまだ暑いぐらいですが、ずいぶん過ごしやすくなりました。 これぐらいだとずいぶんアタマも体も落ち着きます。
北村太郎さんの詩集を読んでいました。故人の70年代の詩やエッセイです。 北村さんは猫を飼われていて、「猫について」というエッセイ、73年のですけれど古さとは関係なく面白く読みました。(ほかにも「音楽について」というエッセイも面白かったですけれどね)。
T.Sエリオットの「オールド・ポサムズ・ブック・オブ・プラクティカル・キャット」をどう訳すかという部分で北村さんはひそかに疑義をはさみます。 日本で出ているタイトルは「おとぼけ爺さんの猫行状記」。 「プラクティカル・キャット」とは何ぞやと北村さんは問いかけるのです。
北村さんは翻訳の仕事もなさっていたけれど、このふたつの言葉に困惑してしまったんですね。 ぼくはかんたんに「実用的な猫」なんて訳してしまうけど、なんせエリオットですから。 氏はCODでプラクティカルを調べて、ぴったりの意味を見つけるんですが、これをどう日本語にするのか悩みます。 で、いろいろ思いをめぐらすうちに、 『猫はプラクティカルがぴったり。ファンタスティックでも、セオリティカルでもないんだ。いやー、猫というのは実にプラクティカルだなー』 という結論に達します。
北村さんが見つけ出したプラクティカルの意味とは次のようなものです。
inclined to action rather than speculation
さてさて、ほんとに日本語にどう訳しましょうかね。ちょっと涼しくなった夜にでも辞書片手に思いをめぐらすのも一興。 訳出された「おとぼけ爺さんの猫の行状記」も読んでみたくなりました。 はたして今でも手に入るかな?あ、全集がありますね。 ではでは。
(エッセイの引用は現代詩文庫/北村太郎詩集・思潮社によります)
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