木の増殖には苗木が不可欠です。 一本、一本の杉を手で植えた経験がぼくにはあります。 苗木を作るいろんな方法も知りました。
苗木を作る方法を大きくわけると、実生、挿し木、接ぎ木になるのではないでしょうか。 実は植林の多くは挿し木から苗を作ります。また薔薇の苗の多くは接ぎ木から作られます。柑橘系の木も接ぎ木が多いですね。
ホームセンターや園芸店に出てくる苗も接ぎ木のものが多く。実がなったり、花が咲いたりという結果が実生に比べて早く得られます。
京都の山に入れば、川端康成の小説でも有名な「北山杉」がまるで自然の格子戸のようにまっすぐで細い美しい樹影を見せてくれますが、 あれはほとんど挿し木によってできた林です。
挿し木、あるいは挿し穂ともいいますが、形のよい木の枝を切り、一定の長さの穂にして、小川に水の堰をつくりそこに浸けておくのです。 根が出たら、それを畑に植え、そこでしばらくすると立派な苗木ができるのです。 言ってみればクローンを作っているわけです。
もちろん、林業家の方針として実から育てるところもあります。花はやがて実となり地上に落下。そして芽吹いて…となるのですが、挿し木に比べてものすごく時間がかかるんですね。手間もかかります。
日本中で杉花粉が飛び迷惑がられる杉ですが、自然本来の姿は実生です。 実生のものの方が強い、と街の園芸家はよくいいますが、本当のところはどうなのかわかりません。
花にしても、ハーブにしても街の園芸家達は、ある程度のレベルになると種を収穫し、苗からではなく種から育てるようになるようですね。その方が面白いと言う方が周囲には多いです。
薔薇でもローズヒップができるものとできないものがあります。うちでは実になる前に花が咲きかけたら一輪挿しにしているので、どれがどうなのか試していません。 実をつけるということは植物にとっても一大事業で、かなり消耗するんですよね。それで枯れてしまうのも怖いですし。 しかしながら、薔薇の場合、原種に近い、種の獲れるものを残すというのがとても大切な課題になっています。
さて、うちには食べた実についていた種から育てたレモンがあります。もう5年はたっていると思います。 これが花は咲かないし、もちろん実もとれません。 実生ですからね。時間はかかるんだろうなと思っていました。
庄野潤三さんの「せきれい」には実生の苗で育った柚子が植えてからなんと25年目で実をつけたお話が出てきます。 25年!!!! だから営林とか果樹栽培とかだと待ってられませんよね。 たぶんうちのレモンも相当時間がかかるでしょう。生きてる間に花がみられるでしょうか。 ほんとうにそれほどの時間のスパンなんですね。
ちなみに今年植えた柚子の木は二本とも接ぎ木です。 近所の山桜はみな実を結びます。その話を書き始めました。
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