散歩主義

2009年06月02日(火) 「1Q84」…Book1を読み終えました。そして「真昼なのに昏い部屋」。




読書に目が疲れたので珈琲を飲んで休憩しながら、ふと、今年は大作ラッシュになるんじゃないかな、と思った。

もちろんこの村上春樹「1Q84」。
同じように長編で高村薫「太陽を曳く馬」。
上の二作よりは少し短いけど山田詠美「学問」。
さらに池澤夏樹「カデナ」。

全部、新潮社だ。下の三作は月刊「新潮」に連載されていたから、読んだ。
おそらく今、ハードカヴァーのための直しや継ぎ足しや言い換えや、あるいはごっそり書き換えが行われているのだろう。

そのあたりの作業工程が「1Q84」にはでてくる…。

そして「1Q84」がふたりの物語のパズルのように、あるいは一つの楽曲の二つの変奏曲のように同じフレーズやコードを使いながら同時進行しているらしい、と見えてきたように(作品上、と、とりあえずそうしておく。これからどうなるかわからないから)

山田詠美「学問」は四人の物語が交互に語られるし、池澤夏樹「カデナ」も沖縄の、登場人物それぞれの物語が語られる。こちらも確か四人。
人称はそれぞれだ。切り替えもあれば三人称もある。

これもシンクロなのだろうか。
物語が世界の暗闇から浮かび上がるときに同じ方法を選択し、作者にそれとなく強いているとしたら…などとおもってしまうのだ。


それにしても「1Q84」期待に違わず、おもしろい。
とても読みやすい。
音楽はヤナーチェックの「シンフォニエッタ」の他にバッハの「平均律クラヴィーア曲集」と「マタイ受難曲」が現れた。

バッハは好きで集めていたから両方ともある。
今夜あたり聴いてみようかな。

次はBook2。
物語は果たしてどうなるのか。

誰にもいえないし、言い方もまだわからない「大事なこと」をすでに物語からかなり受け取っているけれども…。

そして「真昼なのに昏い部屋」。
週刊現代で江國香織さんの連載が始まりました。
「1Q84」が緊迫感が臨界に向かって行きつつある途中で、この連載を読むと
「まあ、大人なんだし」とか「まあ、揶揄です」とか、そう言う印象的なフレーズに肩の力が抜け、ああ、と感じ入ってしまうのです。
やわらかで静かで、それでいてどこか凛とした空気も漂わせて「お話」が始まりました。

やっぱり江國さんはいいです。ほら、日記の文体まで変わってるし。


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