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■ 棘
胸に刺さった 幾つもの透明の棘
誰もが血を滲ませながら
掻きむしっても 抜けやしないよ
それは自分の手では けしてとれないのに
誰もが自らの指を傷つけながら
それは誰かに 引き抜いてもらわないと
けしてとれないのに
誰かの棘を観る度に それを引き抜こうとする彼
それが自分の胸に 突き刺さることも少なくないのに
指を傷つけるだけでなく 棘を深く突き刺してしまうことも
少なくないのに
自分を疑いながら 時を呪いながら
血に染まって
独り 凍えていけばいい
身の程を知って
独り 朽ち果ててゆけばいい
自分に刺さった棘を どうすることも出来ない儘
2005年01月30日(日)
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