8月26日から9月1日にかけて
中国に行ってきた。
上海と北京なのだが
目にした光景は、刺激的だった。
【上海についての印象】
スケールの大きい、近代的な超高層ビルが立ち並び
そのすぐ脇には昔ながらの古い平屋が存在している。
高級ホテルの入り口には5歳くらいの男の子が紙コップを持ち
物乞いをしている。
街全体は得体の知れない大きなものに動かされ
急速に登りつめている真っ只中。
「ついて来れる奴だけついて来い。ついて来れない奴は知らない。」
と言わんばかりの勢いを持ち
何にもかもを拾い集め、かき混ぜ、何に向かっているのか?。
そこに意味などなく
混沌と喧騒の中、吹き飛ばされるか、吹き飛ばすか。
肯定も否定もなく、ただただ「生」への強烈なエネルギーに満ちたパワー。
「今」を生きるパワー。「人間」あふれる、汗まみれのロマン。
それを肌で感じられたことが非常に良い経験となった。
街は香辛料の臭いと、薬草の臭いと、ドブの臭いと熱気で充満してクサかったが
上海の子供達の顔はとてもハツラツと活き活きしていて、ヤンチャで良い顔をしていた。
だから・・・・そのまま行け!と思った。
【北京についての印象】
来年(2008年)オリンピックが開催されるとあって、建築ラッシュだった。
その影響もあってか、空気が非常に汚く感じた。
故宮の全体が見渡せるという景山公園の丘に登ったが
大気にスモッグがかかっており、ほとんど故宮が見えない程、ひどい状態だった。
このままだとオリンピックで走るマラソンランナーが大変だと思った。

上海もそうだったが北京も、建物に関して言えば
もはや日本をはるかに越えるスケールの大きい発展を遂げている
と感じた。
ただ歴史的建造物(万里の長城、明の13陵)を見る限り、創り方は
日本と違い大雑把で、大胆ではあるが繊細さに欠ける印象を受け
それは国民性にも出ているような気がした。
はたまたそれは料理にも現れているような気がした。
日本で食べる中華料理は餃子にしろチャーハンにしろラーメンにしろ
焼きビーフンにしろオレは大好きなのだが
中国の中華料理の味は日本で食べるそれと違っていた。
大雑把だった。辛いか甘いかで作られていた。それは決して
まずくは無いが、味わい深い香りが、そして風味が、無いように思えた。
要するに、中国料理は何でもかんでも(鳩もネズミもサソリもその他諸々)
食材にしてしまい
フライパンに油を沢山敷き、食材を強火で炒め
仕上げに唐辛子と薬草をドバッと入れ、いっちょ出来上がり!!
の料理なんだと感じた。
それはそれで好きなのだが、さすがにそれを1週間食べるのは・・
しんどかった。
日本はほとんどの料理に、隠し味として醤油を少々いれ
全体的な味を引き締めるところがあり
そこに味わい深さを感じるのだと思うが
中国料理にはそれが無かった。
だがそれは、食文化の違いを痛感したという意味で
とても良い経験であり
やはり食は文化なのだなと、あらためて感じた。
帰りの飛行機の中で機内食が出た。
「中華丼とドライカレーどちらにしますか?」と聞かれた。
もちろん「ドライカレーを下さい」と言った。
機内食だから、そんなにおいしくない食べ物のはずなのに
ドライカレーに薬草の臭いは無く、どこかに醤油の味を感じた時
涙が出る程、懐かしい味に思え、メチャクチャおいしくて
むさぼり食ったよドライカレー。
なんにせよ、北京に行ったことで日本の良いところが
客観的に感じることが出来たことは、とても良かったと思っている。
ちなみに、北京の子供たちの顔も上海と同じくらい
とてもハツラツと活き活きとしていて良い顔しているなと思った。
あんな大人になるなよ!!!と思った。
中国には、たった1週間しかいなかったが、1年いたら
本を一冊書けるんじゃないと思えるくらい面白い国である事は
確かだった!
一つ気になった事があった。
それはコピー商品が何の悪気も無く、当たり前のように売られている
現状だった。
何かを吸収し、創っては壊し、別の何か新しいものが産まれてくるのであれば
よいのだが、あれだけ発展を遂げているのにもかかわらず、ましてや、もの凄い歴史の
ある国にもかかわらず、新たな独自のキャラクターが産まれていないように思え
なんとなく、いろいろなものにチープさを感じてしまうのが気になった。
余計なお世話なのだが、この国の一流とは何だ!と言いたくなった。
これは日本にも言える事だが、日本はまだ、アレンジをする力があり
何かを吸収したら、独自のものを産み出す力があるのが救いだと思えた。
いずれにせよ、日本も中国と同じく、土台を無くしたまま闇雲に進むと
その付けが、いつか回って来るわけで、その時、どうするかを問われるのが
もうそこまで来ているし、、とっくに日本なんかバブルがはじけたわけだから
いい加減、なんとかしなきゃいけないところに来ているんだと
中国に行って、初めて思い知った。
火山国でありながら、冷めきっちまっている、ハナタレ日本だ!。と。
それにしても、初めはあまり中国行きに、乗り気じゃなかったのだが
日本と違う空気を吸う事は、自分にとって、とても良い経験となり
楽しい事だった。
バスガイドさんがいつも、みんながバスを降りる時に言っていた。
「貴重品は、お持ちになって頂いてよろしいです。ハイ」
オレはそれを聞くたび、ニンマリしていた。
中国人は一見、無愛想だが、それは愛想を振りまく概念が初めから
ないだけであって、実はとてもチャーミングでオチャメで優しい人達である事を
いろんな場面で感じた。
話は変わるが
中国は生水を飲んだらいけない。中国人も生水は飲まない。
もちろん日本人よりは多少、生水に対し免疫があるから、うがいする時や
歯を磨く時は生水を使うだろうが、オレはお腹を壊したくなかったから
うがいする時も、歯を磨く時もミネラルウォーターを使った。
それなのに、とっても暑かった日、上海で散歩してたら、屋台の
カキ氷屋があり、オレはそのカキ氷を買って、食べた。
食べている途中で気付いた。
「待てよ、この氷、もしや、生水を凍らせただけじゃね〜か?」と。
案の定、その夜から3日間、オレは腹を下した。
夜中に何度も起きて、ピーヒャラピーヒャラ言っていた。
それはさておき
オレはデジカメを持って行って、旅の前半から沢山写真を撮っていた。
だが旅も後半になり、まだまだ写真を撮りたいと思い、
このまま解像度の高い設定だと、撮れる枚数に限りがある為
解像度を低い設定に切り替えようと、デジカメをいじり始めた。
そしてまもなくして、今まで撮っていた写真が全て消えた。
「画像を初期化しますか?」の問いに「yes!」と答えてしまったからだ。
オレにとってこの旅は、そういう事だったんだと、その時納得した。
旅の最終日の故宮の写真と帰りの飛行機の窓からの写真だけが
このデジカメにおさめられている。
バイバイ中国!
オレは帰るよ!
良い旅だった。ありがとう!

もうじき帰るよ。

ただいま!
日本!