2003年06月12日(木)
ご存知の人もいるかもしれないけれど、先週末までTBS系列で放映されていた昼帯ドラマである。 エンクミこと遠藤久美子ちゃんがはじめて昼帯ドラマで主演したドラマ。 っていうか、ファンである西村和彦さんが出演するので見始めて嵌ったのだけど・・・。 ドラマの方は「不慮の事故で一生車椅子生活を送ることになった若い女性が、車椅子ダンスに出会い、いくつもの挫折や試練を乗り越え、幸せをその手に掴むまでの道のりを描くヒューマン・ラブ・ストーリー」である 今回はテレビドラマの話ではなく原作本の話。
「ダンシングライフ」には、ある実話を基にしたフィクションである。 ドラマに嵌れば嵌るほど、原作本を読んでみたくなるのが人情。 出版元にも品切れ状態で6月1日に2版が出版されて、やっと手に入った。
原作者が車椅子生活が余儀なくされたのは、医療ミスによるものだった。 一本の注射のミスによる下半身麻痺。 事もあろうか、病院側はそれを認めるどころか、ミスを隠し、彼女に「ヒステリー性対麻痺」という病名をつけて、追い出した。 それから2年、引き受けてくれる病院も見つからず、医療過誤裁判を引き受けてくれる弁護士も見つからない暗闇の日々の中で彼女はさ迷う。 病院不信に陥った彼女が「これが最後」と決めた病院で、ようやく彼女を受け入れてくれる医師に出会う事が出来るが、それと同時に「二度と自力では歩けない」と宣告を受け入れるなければならなかった。 一番必要だった上肢力アップのリハビリを開始した彼女は、それでもリハビリの中で、車の運転をはじめ、水泳にも挑戦し、車椅子ダンスに出会い、少しずつでも彼女なりに楽しみを見出したのに、彼女を苦しみのどん底に沈めたのは、パラリンピックだった。
長野パラリンピック・・・長野冬季オリンピックの成功に日本中が沸き立っている時。 芸能人などを優先してことが進んだために、車椅子の彼女達は吹きさらしの駐車場に長時間待機させられ、風邪を引き、低酸素脳症に陥った結果、四肢麻痺・言語障害・記憶障害に陥ってしまったのである。 大体、この長野パラリンピック・・・車椅子の彼女に用意されたホテルの部屋は和室だったというお粗末さ。。。 言語障害・記憶障害は克服したというものの、せっかく自由に動いていた上半身には今も指に麻痺が残っているそうだ。
それでも彼女は、今年の12月にある車椅子ダンスの世界選手権の選考を兼ねた競技会を目指し、2006年のトリノ(イタリア)冬季パラリンピックにも挑戦しようとしている。 それだけではない。 後遺症に悩まされながらも、福祉の店を手伝い、ボランティアにも参加し、講演会では医療の事・バリアフリーの事を訴え続け、自分が動ける間は、それが自分の役割だと結んでいる。
「あきらめたら、なにもかもがそこで終わってしまう。 10回やっても10回ともダメかもしれない。 だけど100回やったら100回目でなにかが動くかもしれない。 (中略)今日できなかったことが、もしかしたら明日にはできるかもしれないから。」
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