僕らの日常
 mirin

■■■
■■
■  オレンヂ@宇宙

気づいたら、目の前の世界は真っ白な光に包まれてた。

あの日、にいさん達を追いかけて出たベランダ
いつもなら、窓に僕より高い柵がかかって・・・
でも、その日は何もかかっていなくて
にいさんの背中目掛けて、思いきり飛び出していた。

遊んで欲しくて、ぎゅっ。って思いきし抱きついたら
驚いた顔で、2人の兄は僕を見てた。

「宇宙!」

え?何?どうしたの?そう思って、僕は上を見上げて
とても眩しいオレンヂ色の玉を見た、白い雲も青い空も
見た、筈だった。

「おにいちゃ・・・」『あれ、なぁに』

声にする前に体全体が熱くなって、世界が真っ白になった。

起きたら、身体中がヒリヒリしてすごく痛かった。
どうしてかな?って上手く動かない首を一生懸命動かし
周囲を見たら、カーテンで光が遮断された部屋に居た。

「宇宙・・・」

横から、おかあさんに涙でいっぱいにした顔でぎゅっ。と
抱きつかれて、僕はちょっと痛かったけど、でもすごく
悪いことをしたような気分になって、おかあさんにずっと
『ゴメンナサイ』と何度も謝っていた。

あのオレンヂ色の玉はなぁに?とはとてもじゃないけど
聞けなかった、僕はあれが錯覚じゃない本物の太陽だって
いつまでも信じてるつもりだけどね。

こんなこと言ったら、おかあさんはまた泣いちゃうのかも
しれないけど、いつかもう1度あの太陽を見上げたい。

今度は・・・ちゃんと全部感じ取れるように・・・


2002年05月06日(月)

■■■
■■
■  オレンヂ@晴臣

「だからね、僕は本当はオレンヂが嫌いなんだ。」

ここは太陽の間、キミはオレンヂにキスしながら
笑いながらそう言う、この言葉に何と不釣合いな
綺麗な笑みなんだろう。

「味はスキなんだけどサ」

ポケットから取り出した果物ナイフで林檎の様に器用に
皮むきをはじめながら、クスクスと零れ出る声にボクは
目を細めて声を返した。

「宇宙?太陽はオレンジ色なんてしてないよ」

手を動かす事をやめず、チラリと目線だけボクに返す。

「太陽が唯一、赤くなるのは夕方だけだし」

・・・言わなきゃよかった。陽の光を浴びれない宇宙は
本当の太陽を何も知らないのに、こんなこと言ったら夢が
なくなっちゃうよね・・・

「んー。らしいね?でも、僕だけそう信じてればいいよ」

真顔でキミはそう言ってたかと思うと、フ、と目を閉じて
ボクの方に振りかえって軽く微笑んだ。

「晴臣、半分食べる?」

オレンヂの太陽は出てないけど、窓から見えるレモン色の
月は宇宙にとても優しくて、ボクに差し出してくれる
その手がとても嬉しく思えた。

「うん、食べる♪にしても、器用にむけたね?」


2002年05月07日(火)

■■■
■■
■  硝子の心@鳥羽

ここは、屋上にある空中庭園。

少年達は我先へと展望台へ繋がる階段を駆け上がってゆく
そんな群に混じれない、ぼくは、クラスメイトの暁生と
2人で庭園内のカフェでお茶していた。
ギャアギャアと騒ぎ立てる生徒達に目をやると、その間を
スルリと猫のように2人の少年が軽く交して走って上がる
のが見えた。

"・・・月みたいだ。"

突然そう呟いたら、隣に居た暁生が怪訝そうな顔でぼくを
見た、さらさらと伸ばされ横手に1つに束ねられた金色の
長い髪は一見すると、少女の様な印象を受けるのに近くで
見ると、なぜかそんな気は失せて少年的感覚が彼に付き
纏っている。

「あぁ...あいつ。宇宙じゃんか」
「ソ・・ラ・・・?」
「そ。珍しい名前だから覚えてたってのもあるけど
あいつって、朝学組の貴公子の貴重なお友達だからな」

朝学組の貴公子?・・・あぁ...終司のことか、彼の言動は
いつも周囲の生徒達の反感を買っている。何が問題か?
あの嫌味の含んだ言葉と棘のある毒舌な言い回しだろう。

「貴公子様と友達なんて、どうゆう神経してんだろうな?」

答えを求められ少し苦笑する、言葉を濁すので精一杯だ。

"ぼくに答えなんて求めないで"

何も返せないから、他人同士の比較対象の違いなんて
そんなの、わからないんだ。自分自身が誰かの間でその
比較に入っているかもしれない、このぼくの足を見て
誰かが…きっと、そんな風に考えているのかもしれない。

気持ちの上での裏切り、たぶん1番近くの暁生にさえ
それは何も変わらない。呆れる程、なんて心の寂しい
人間なんだと思った。

2002年05月08日(水)

■■■
■■
■  シイチャンと友達@キン

「キ〜ン〜?・・・キン・・・飯だぞ」

夕日が沈む時、それは我らの夕御飯の時間。この学園に
住みつく我らは彼の様な優しい人間にご馳走になる。
学食の残りか、弁当の残りなのか、ラップに包まれた
ソレを透明の容器に移し替えて、目の前に出して頂く…。

「ほら。今日は、いつもよりちっと豪勢な」

ご飯と鮭と、あと何かの野菜が入ったそれを我等が勢い良く
平らげていくのをキラキラした目で見詰める彼の様子は、
中々の見物であり、我はチラチラと彼の様子を伺っていた。
彼は、シイチャン・・・。この学校の朝学組の生徒さん
たしか、そう誰かに終司と呼ばれてたのを聞いた覚えがある。

「食ってろ。水汲んできてやるから」

シイチャンはいつも我らに優しい。人によっては、そっ気ない
でも、別にイジワルするわけじゃない。ただ、ちょっとたぶん
素直になれないだけなんだと思う。・・・たぶん

「ほら、詰らせるなよ」

夕飯を半分平らげた頃、シイチャンは小さなカップに水を
入れて戻ってきた。水を飲んでシイチャンの足に掏り寄ると
首辺りを撫でてくれる、我の喉は自然とゴロゴロ鳴っていた。

「柊。やっぱり、ここに居たね。予鈴鳴ったよ」

次の授業の教科書だろう、それを2人分程、持って
シイチャンと同じ制服を着た生徒が走ってくる。

「あぁ...今行く。じゃあな、キン」
「バイバイ、キンチャン」

いつも、シイチャンを迎えに来てくれる、彼には感謝している
これで、毎回の遅刻の数が嘘のように減っていったのだから
撫でることになれてないのか、我の頭をポンポンと撫でていく
手には、少し苦手意識があるけど、悪い奴じゃないと思うから
今度、彼の名前を猫仲間の誰かに聞いてみようかな。

だって、せっかくのシイチャンの友達だから・・・。

2002年05月09日(木)

■■■
■■
■  内密に...@晴臣

今日は昼から、委員長会議があって教師に呼び出された。
通常組の生徒でありながら、最近は夜学組の授業ばかり
顔を出してる現状。

理由は"楽しいこと"と"人"を両方見つけてしまったから

「おはよー!朝学組の貴公子が昼来るのって珍しいじゃん」
「お前こそ、同類だろうが」
「まあね、昼は宇宙も来ないし、つまらないんだけど。
仕方ないよ、今日委員長会議で呼び出しくらったんだから」
「そういえば、あいつ、どうして昼来ないんだ?」
「知らないの?」
「ああ...」

ふ〜ん。まだ、聞いてないんだ。真っ先に気になることなら
この貴公子様の性格上、人にすぐ問いただすと思ってたけど
結構、思慮深かったり?

「自分で聞けば?それとも、聞く勇気がないとか」
「悪かったな」

嘘・・・冗談のつもりだったんだけど、またマズったみたい。
いつだってそうだ、宇宙の時で懲りた筈なのになぁ。
あ〜あ...どうして、ボクってこういう性格なんだろう

『どうして昼来ないの?』
『何ソレ、突然』
『宇宙っていつも元気だし、体弱くないよね』
『ん。元気だけど』
『もしかして、吸血鬼だったりして?』
『・・・。たぶん、似たようなもんだよ。ソレ』

あの時の彼は今の終司と同じように少し困り顔で、でも目は
じっとボクを向いたまま答えてた。その後ボクはただ黙々と
言う筈だった『ただの冗談〜♪』を口内に閉じ込めていた。

「おい」
「え?な、何?!どうしたの!」
「それはこっちの台詞だろ。廊下の真ん中で棒立ちになんな」

どうやら、思考がトリップしていたらしく、目の前に居る
終司だけでなく、周りの生徒達が怪訝気にボクを見ている。

「あ、ごめん。・・・えっと、宇宙のこと」
「もういい。お前に聞いたのが間違いだった」

軽〜く、ご立腹マークを頭に浮かばせて、眉間にシワが入る
正面を見ると、視線がかち合って彼が口を開いた。

「自分で、聞くからいい!」

そう一言だけ残すと、そのままフイと顔を背けてスタスタと
廊下を歩く彼の後姿を見送りながら思う、朝学組の貴公子の
姿はなかったような気がする。
まるで、仲間はずれにされた子供のような哀愁があったから

・・・とは、口が裂けても、言えないけど・・・

2002年05月10日(金)

■■■
■■
■  対照的@鳥羽

太陽が空から居なくなる時間、彼は姿を見せる。
どうして夜しか来ないんだろう。思うことは多い
でも、理由の解明が難解そうなのであえて、
それは忘れようと思う。


<<廊下>>

足の遅い、ぼくは友人達から数歩遅れて後につく…
前から来る生徒達の騒がしさに目をやると、いつも
その中心で笑っている、彼に目を奪われてしまう。

視線はかちあうこともなく、そのまま過ぎ去るだけ
それでも…この一瞬が、すごく好きだ。そう思う。
日常の何気ない 1コマいつも楽しそうな彼がふいに
真面目になったのを見た事があるけど...

その表情がとても寂しそうだったから、やっぱり彼には
笑っていてほしいとか考えてしまう自分がいる。

でも、彼は・・・きっと、こんなぼくを知らない。


だけど、いつか声をかけてみようと思う。

「いい天気だよね?」 とでも...

2002年05月11日(土)

■■■
■■
■  対照的@宇宙

眩しい太陽が隙間ない空から、光を地上に降り注ぐ
そんな様子を数ミリ開いたような、カーテンから
覗いてみる、母さんが見たら卒倒しそうな光景だね。


<<屋上>>

夜学組・授業内容「天体観測」今夜はうってつけの
満月で、担当教師のやおちゃんは舞い上がってる。
これが昼間だったらいいのに、こんなこと思うのは
快晴満月な夜に失礼なんだけど思わずにいられない。


ふと、空から地上を見下ろすと下校途中の生徒の姿
悪ふざけしてる生徒達の横で控えめに笑ってる彼がいた

どうにも、おぼつかない足取りで足悪いのかな?って、
首を傾げてみる。考えてもわからない・・・
今度、晴臣に聞いてみようか?そう思って片付けた。
屋上の片隅で観測表片手にまた君に視線を投げてみる。

でも、彼は・・・たぶん、何も気づいてない。


だから、いつか声をかけてみようと思う。


「月見日和だね〜」 とでも...


2002年05月12日(日)
≫ 初日 最新 目次 MAIL


My追加