+ 空の向こう +
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シーズン中ということもあり、店の中にはたくさんの雛人形が飾ってあった。段飾りのものもあればお内裏様とお雛様しかいない小さなものまで。 「お雛様ってみんな違う顔してるんですね。」 きょろきょろと辺りを見回しながらも、どんどん先に行ってしまう赤屍を追いかける。 赤屍はというと、わき目もくれずにどんどん億へと進んでいっていた。 「あの、赤屍さんはここに用事なんですか?」 ようやく横に並ぶと銀次は赤屍を見上げて訊いた。 「そんなところですよ。」 そしてクスッと笑う。 銀次ははっとした。 まさか、ここで仕事(運び屋の方)をするのではないか、と。 そんなことをすれば下手をすれば死人が出る。折角の可愛らしいお雛様たちが血に濡れることになる。 そう思うと銀次はぞっとした。それだけはなんとしても避けなければ。 「あ、赤屍さん!」 「はい?」 うまくまとまらない頭で、それでも彼を止めるべく名前を呼ぶ。すると、彼はすでに数メートル先の店員の元にいた。 銀次はあわてて赤屍の方へと駆けていく。 辿り着いたそこには大きな段飾りの雛人形が一つ飾られていた。どれもこれも優しい顔をしている。銀次は思わず見とれてしまった。 「京都の名のある人形作家が作ったものなんです。」 見とれる銀次に赤屍は説明した。 「優しいですね。」 人形なんて分からない銀次にもそれだけはしっかりと分かった。自分に娘がいるのならばこういうのを買ってあげたいと、ぼんやり考える。 「先生のお願いだなんていうから断りきれずにとっておいたんですよ。」 「ありがとうございます。」 女性の言葉に、赤屍が珍しく微笑みながら礼を返す。 女性店員――この店の店長らしいが――の言葉に銀次は思わず振り返った。 「センセイ?」 不思議そうな顔をする銀次に赤屍は苦笑する。 「こう見えても私は医者ですよ?」 「あ、そっか。」 言われてようやく思い出す。赤屍は医者だったのだ。ドクターの名は張ったりじゃなかったらしい。 「でも、どうして赤屍さんが雛人形を・・・?」 「銀次クンが余りに必死になってショーウィンドウを除いていたので・・・。」 「え!?」 思わず大きな声を上げてしまう。瞳が零れ落ちそうなほど見開き、まるで子犬のように見上げる。すると、赤屍の笑い声が聞こえてきた。よく見ると、珍しいことに本気でおかしそうだった。 「ど、どうして笑うんですか!?」 そういいながら明日は空から槍が降る、と本気で心配した。外出を控えなきゃ、と自分に言い聞かせる。 「冗談ですよ。」 そう言いながら、これはいい物を見たと本気で喜んだ。これを彼の信者たちに教えたら(むしろ自慢か?)、ちょうどいい暇つぶしができるだろう。ただし、次の日に死体が発見されようとも、大怪我を使用ともあまり気にしないのが彼である。 赤屍は店長に言うとメモとペンを借りる。そこに何かを綴ると銀次に渡した。 「何ですか、これ?」 「三日後にここに来ませんか?もちろん、美堂君には内緒で。」 「え・・・でも・・・。」 戸惑う銀次の横を赤屍は通り過ぎていった。取り残されて銀次は呆然とする。そして、メモと赤屍を交互に見やった。 メモに書かれているのは都内の住所。 どうすることもできなくて銀次は赤屍を追いかけた。 「待ってください、赤屍さん!」 自動ドアを抜けて外に出たときにはすでに赤屍の姿はそこにはなかった。 結局、置いてきぼりを食らった銀次はその場でため息をつくだけだった。
***
あはははは、日付変わったから載せました(←馬鹿)。 なんだか赤屍さんが変だよ―――(泣。 あ、彼がいつも変だなんて突っ込み入れないでください・・・。 つか、うちのバネさんは銀ちゃんにはべた甘です。 つーか甘いんです!!(←言い切るな) 夜もそこそこ更けてきました。 ごみ捨てに行ってないので今のうちに行ってこなければ・・・。 日付変わったからいいよね・・・? 明日の朝8時におきる自信は全くもって
ありません!!
では。逃げるのです!!
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