スナックおのれ
毛。



 結婚と食事。

 自分自身の食事のマナーが良いとは思っていないけれど、ご飯時の習慣にどうも神経質になる。たとえば、お箸の持ち方、食べ方、どうも気になる。友だちならまだしも、これが彼氏など連れ合いの部類になると、いっきに爆発する。
 口の中での租借を見せつけるようにして食べる人と付き合ったことがある。おいしいということを無意識に表現した結果らしいが、その無意識すら、私は嫌悪した。というわけで、気になるたびに何度も何度も口酸っぱくして2年間、やめるようにと言い続けた。ほかにも、寄せ箸、ねぶり箸、すべてやめるようにと言い続けた。が、別れても直らなかった。
 犬食いする人とも付き合ったことがある。食べるときに顔をあげない。茶碗を手に持たない。碗をテーブルにおいたまま、米をせせるようにして食べる。かろうじて手に持ったな、と思っても、やっぱりせせる。豪快ならまだ許したかもしれないが、それをのど元に引き寄せるようにして、顔を下に向け、背を最大限にちぢこめて食べる。なにか貧乏くさくて嫌いだった。でも、それよりなにより食べ物に対する敬意がこの食べ方からは見られないことが嫌だった。その人にはそれを指摘する間もなくフラれた。別れ土産に指摘しといてあげれば良かった、と今、思ったりする。あいかわらず、犬食いしているのだろうか。
 そんなことを思い出しながら、食事中、主人を見る。この人は、非常に行儀良く食べる。おいしさの表現、箸の持ち方、食べ物の扱い方、食べる姿勢(基本、主人は正座である)、すべて良い。逆に私が指摘をうけることもある。それもかえって気持ちが良い。
 先日、読んだ本に「その人といっしょに、めしを食うのが楽しい、と思ったら、結婚すればいいよ」というくだりがでてきた。まったくもってその通りだ、と心から納得した。

2006年08月15日(火)
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