スナックおのれ
毛。



 銀行強盗、とはいえ、平和。

 先日、いつものようにバスに乗ったときのこと。その日の運転手さんはめずらしく大変感じの良い方で、なおかつよくお話しされる方でした。私が乗り込んだ直後くらい、ちょうど通路をはさんで私の横。最前列に社会人1年目とおぼしき若者が乗り込み、運転手さんと話をはじめました。
どうやらふたりは、昔なじみの様子。運転手さんは「君が社会人ねえ」と感心しきり。1年目は、「まだまだですが、がんばります」と謙虚な態度。東京のど真ん中で、まさかこんな「この町全部が隣近所です」的な会話がきけるとは。
 すると、ちょうど歌舞伎座のあたりにさしかかったとき、運転手さんが「今、ここで宝石強盗が籠城してるんだって」と、左手を指さします。たしかにそこには、たくさんのパトカーと黄色のバリケード。どうやら話は本当っぽい。大事態じゃない!!もちろん、私は目がくぎづけです。だけれど1年目、「あ、そうなんですか」、運転手「さっき休憩所で聞いたんだよ」。
 そとは、なんだか大変だっていうのに。東京は治安が悪いって言うのに。このふたりのこの会話は平和そのもの。なんやかんやで、東京はものすごい平和なんだな、まだまだ大丈夫かも。銀行強盗さんも、こんなふたりのうちのひとりになれたらよかったのにね。


2007年06月17日(日)
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